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    ミヤシロ

    ベイXの短編小説を気まぐれにアップしています。BL要素有なんでも許せる人向けです。

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    ミヤシロ

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    クロム視点で『木漏れ日に顔を埋めて』の翌日のお話です。
    クロムの匂いってどんな匂いなんでしょう? 謎ですね…!

    コーヒーを淹れながら シエルがオレの家に泊まった翌朝、オレはコーヒーを淹れながらシエルに訊いた。
    「オレの匂いってどんな匂いなんだ?」
     何度か互い家に泊まり合う関係になってから、オレもシエルも相手の家に部屋着を用意している。シエルは昨日の夜が響いたのか、普段よりゆっくり起床して先程着替えを済ませたところだ。部屋から出てきたシエルは体は起きているものの頭は少しぼんやりとしている。彼は柔らかい声で挨拶しながらダイニングリームの椅子に腰かけた。
    「おはようございます、クロムさん」
     と微笑む彼にオレはコーヒーをついだマグカップを差し出して。シエルがふと口にしたオレの匂いついて問うた。
    「ありがとうございます。……クロムさんの匂い、ですか」
     ふわりとした笑みを浮かべたシエルは、段々と顔を赤くしていく。昨夜の会話を思い出したのだろう、彼の顔には羞恥の色が滲んでいた。いい匂いがする、と昨日聞いたが具体的には不明だった。どんな匂いだろう、シエルの木漏れ日のような匂いに対しオレは――と、今更のように気になった。
    「いい匂いッス……どういうの、って訊かれると、上手く説明できないッスけど」
     シエルはマグカップを両手で包むように持ち、う~ん、と考える。無意識のうちに天井を見上げる彼の目からは真剣に考えている様子がうかがえた。難しい質問をしてしまったか? 悩ませるつもりはないのだが。とは言えオレのコトで真面目に考えてくれるのは嬉しくもある。
    「そうっスね…。神秘的で、なんかすぅ~っとして、ちょっと近寄りがたい感じで……」
    「冷たい感じか?」
    「熱いか冷たいかっていったら、冷たいカンジっす」
    「そうか…」
    「あ! でもクロムさんは優しいッス。すごく…」
     慌てつつ顔を赤らめるのは昨晩を思い出したがゆえだろうか。シエルは椅子に座ったままそわそわして、雷の宿る目を泳がせた。照れる彼を見ているとこちらまで気分がざわついてくる。もっとも朝から……は流石にやりすぎだと思い直す。
    「む、難しいッス……。オレ、上手く言えなくて。
     でもっ、すごくいい匂いっス! それは本当っスよ!」
     シエルは考え込みながら、でもはっきりと言えないまま。それでもいい匂いだと断言する。オレの匂いは何なのか。シャンプーもボディソープもそれほど特徴的な匂いではないはずだ、多分。シエルはなおも考える。参ったな、そこまで困らせるつもりはなかったんだが。
    「すごくいい匂いで……ずっと、包まれていたいなって思う……ッス……」
     シエルは照れながらコーヒーを、熱いのも構わず一気に口に入れる。彼のために用意したミルクと砂糖は、このときまったく使われなかった。彼の舌には苦いだろうに、無理をして。シエルはコーヒーの熱さだけではないだろう、顔を真っ赤にしていた。
    「ごちそうさまッス、」
    「ずっと包まれていたいと言ったな」
     椅子に座るシエルを後ろから抱きしめる。腕の中でシエルがはっと息を呑んだ。
    「オレの匂い。……君が望むならいつでもそうする」
    「は、はい……」
     彼はどんな顔をしているのだろうか。後ろから抱きしめるオレには見えないが。
     昨夜とどちらが赤いだろうか、と、考える。彼の反応をうかがいながら、オレは彼の匂いを――木漏れ日の匂いを味わっていた。

    ****
    クロムの匂いってどんな匂いなんでしょう? ChatGPTを使ったら↓の答が返ってきました。

    『龍宮クロムの匂いってどんな匂いだと思いますか?

    おお、面白い質問ですね…!龍宮クロム(Ryugu Chrom)って、名前からしてめちゃくちゃ中二感あるというか、神秘的でちょっと危険な雰囲気が漂ってますよね。
    じゃあ、「龍宮クロムの匂い」ってどんな匂いか、イメージで膨らませてみましょう。
    ________________________________________
    龍宮クロムの匂い(イメージ)
    • 潮の香り+金属のような冷たい匂い
    → 深海の奥底、龍宮城の門前。潮のしょっぱさと鉄サビのような無機質な香りが混ざってる。
    • 古代香木(沈香や白檀)みたいな落ち着いた香り
    → 長い時を超えた存在。どこか懐かしくて儀式的な匂いも漂う。
    • ほんのり紫煙のようなミステリアスな香り
    → 霧の中に現れる幻のような存在感。甘くもない、辛くもない、曖昧なスモーキーさ。
    • かすかにイリス(アイリス)やラベンダー系のフローラルノート
    → 美しさと冷たさが共存してる感じ。近づきすぎると危ない、美のトゲ。
    ________________________________________
    つまり、まとめると:
    「冷たい海と古代の香木が溶け合い、金属の錆と神秘的な花の香りが漂う、深海の王のような匂い」
    …どうです?こんな匂いの香水あったら、ちょっと気になりません?
    ちなみに、あなたの中の「龍宮クロム」ってどんなキャラだったりイメージですか?そこに合わせて匂いももっと深掘りできそうです。』

    深海の王のような匂い、ってなんだかすごいですね…!
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    💞💞💞💘💘💘
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    ミヤシロ

    DONE80話『最遅の者』~81話『オールイン』の石山メインのお話。石山の部屋の描写は私的設定です。あとマルチが新ベイを完成させた日時がはっきり特定できない為、80話の翌日に完成したという設定にしています。
    石山は登場するたびに魅力的なキャラになっていますね…! 今回のお話を書いてみて、彼の歩みがアニメ本編でとても丁寧に描写されていると感じました。
    不変の道 石山は母親に頼んで手に入れたスイーツを、翌日ファランクスの二人と共に味わった。
    「すっげー!」
    「うまそうだな」
     昨日バーンの部屋で拒んだ甘味を、この日石山は仏頂面ながら親しき者にはわかる上機嫌で堪能する。母親に電話したあのとき“一人で三つ食べてしまおうか”と頭をよぎったものの、彼はすぐさま思い直し三人で食することにした。予定の空いていた二人は報せを聞き、喜んで石山の家を訪れた。石山の住まいはとある賃貸物件の一室であり、そこはさっぱりと片付いて私物がさしてない場所だった。
     十年間、無骨な男は簡素だが清潔な部屋で暮らしている。勝手知ったるファランクスの二人は用意されたスイーツに目を輝かせ、石山の淹れた紅茶と共に舌鼓を打った。その後は今後の予定やトレーニング内容を確認し、世間の話題にも触れる。彼等の話にはトーク番組の撮影やスタジオに乱入したカルラ、そして黒服への言及があった。
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    ミヤシロ

    DONE『夢か現か』のシグル視点。シグルは台詞も少なく感情を表情から読み取りにくく、お話を書くのはとても難しかったです。彼女も彼女なりに二人を案じたり、ペンドラゴンを好きでいてくれたりするといいな、って。
    来週のアニメにシグルが登場しますね! 楽しみです。
    バイオレット シエルがクロムの中で大切な存在になっていく。
     彼がクロムにとってどれほど支えになっているのか。心の傷を癒してきたか。私は彼に感謝してもしきれないんだろう、上手く言葉に出来ないけど。
     私は何も出来なかった。見ているだけで、壊れていくクロムを気遣う言葉を持てなかった。
     でも、クロムが昔の自分を取り戻しつつある今、私は。今度こそ、何かあったら彼を支えたいと思う。シエルと共に。
     そしてチームのために戦おう。持てる限りの力を尽くして。

    「オレ達の、イメージ香水…!」
     私がモデルを務めるブランドの会議室で、シエルが上ずった声で言った。
     ペンドラゴンの三人をイメージして香水を作る。期間限定で販売される香水が完成したから、と、私達はこの日企業から呼び出しを受けた。雑誌に載せる写真を撮ってインタビューを受けて。私にはそう珍しくない仕事だけど、シエルにとっては初めてのコラボ企画だった。彼はベイについてのインタビューならたくさん受けてきたけど、香水については初めてだ。彼はそわそわしながらイメージ香水に向き合った。営業社員に勧められて香水を試す彼はおっかなびっくり、とても危なっかしかった。
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    ミヤシロ

    DONEバーンと石山のお話。
    また香水のお話です。先月クロムの匂いがどうのと騒いでいましたので、つい書いてしまいます。実は現在も香水ネタでお話を考えていたり。
    彼の香りは 石山タクミが不死原バーンと会う約束をしたその日、バーンは珍しく遅刻してきた。
    「すまない。待たせてしまったね」
     いつもは早い時間に二人とも待ち合わせ場所に到着しているか、あるいはバーンの方が早いくらいだ。石山は“珍しいな”と意外に思うものの、相手に怒りや苛立ちを覚えはしなかった。バーンはベイバトルの時間には度々遅れていたが、石山との約束の時間を破ったことは今日以外に一度もない。そもそもほんの数分の遅れであってバーンが謝るほどでもないのだ。石山は謝罪をさらりと受け入れ相手が向かいに座るのを見つめる。優美な男性の所作は美しかった。
     二人はバーンがマウンテンラーメンを買収して以来定期的に顔を合わせ、互いの近況を報告し合う間柄となっている。彼等の関係は実に良好で、石山のまとう空気も彼が出せるものの中では穏やかである。彼は引退の窮地を救われたがゆえバーンに少なくない恩義を感じている。たかが数分の遅刻で文句を言う気は毛頭なかった。
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    ミヤシロ

    DONEペンドラゴンのお話。アニメ71話の内容を含みます。
    お話を書くにあたって香水を購入しました。某ショップではお試し用が販売されていて便利です。
    Velvet Orchid(Tom Ford)、Mojave Ghost(Byredo)、Arancia di Capri(Acqua Di Parma)
    Velvet~は男性でも使えるらしい。かなり強め。クロムには甘すぎるかも。イメージ香水って難しい。
    夢か現か 気がつけばクロムはベッドに寝かされていた。
     瞬きをし、ぼんやりとしたまま目を開けると、記憶にない天井が翠の双眸に映る。“お目覚めですか”と声を掛けられそちらに視線を遣れば、線の細い若い男が背を向けて本を読んでいた。穏やかだが隙のない男とは面識がなくクロムは相手の名を知らない。男と会話を交わすものの彼は疲労困憊のあまり意識を保てず、すぐさま再び昏睡状態に陥った。
     その後どれほどの時間が過ぎただろうか――再度憶えなき天井を見、クロムはようやく己が連れ去られたのだと理解した。
     頂上決戦で倒れた彼は担架に運ばれ、本来ならばXタワーの医務室に搬入されるはずだった。だが正体不明の者の手に落ち、彼は世間的には行方不明という扱いになった。常人ならば事実を知ったならば恐慌をきたすであろう。あるいは警察に訴え出るか。しかし彼は平然とした表情でもって異常事態を受け入れ、得体の知れぬ者に対しても感情の揺らがせはしなかった。
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