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    Lupinus

    @lupi_eggplant

    テキストを投げ込むスペース/主刀/ファンチェズ

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    Lupinus

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    御前の昔話(伝説)「ひとつ昔話をしてやろう。僕はこう見えてじじいだからな、昔話のネタなら山ほど持っているぞ。
     あるところに、幼くして帝位に就いた少年がいた。その少年のもとには、帝が代々受け継ぐべき宝剣がなかった。少年の兄であり、やはり幼くして即位した先帝とともに都から持ち出され、西の海に沈められてしまったからだ。
     やがて若き帝は失われた宝剣を波の下から引きあげることが叶わぬと知り、みずからの手であらたな宝剣をつくろうとした。国中の刀鍛冶を呼び寄せて毎月代わる代わる刀を打たせ、みずから刀を鍛えることすらあったという。
     後に彼は鎌倉に反旗を翻し、都を終われ遠島へと流される。その地でもなお刀鍛冶を集めていたともいうが、どこまでが真でどこまでが付け加えられた物語か、今となっては知るすべもない。帝が新たな宝剣を手にしたかどうか、伝説は何も教えてはくれない。
     しかしこの物語はまだ終わらない。帝おんみずからの号令で集められた刀鍛治は皆大いに名を上げ、結果この国の刀作りは後々まで栄えることとなった、と。刀を鍛えた帝はいたのか、そうあってくれと願う者たちがいただけなのか……いずれにせよ、その歴史の先に生まれたのがここ、お前さんの本丸というわけだ。

     僕らは皆、失われた宝剣を求める夢の落とし子なのかもしれんなぁ」
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    Lupinus

    DONE男審神者×五月雨江(主さみ)の12/24
    つきあってる設定の主さみ クリスマスに現世出張が入った話 なんということもない全年齢
    「冬の季語ですね」
    「あっ、知ってるんだね」
    「はい、歳時記に記載がありましたので。もっとも、実際にこの目で見たことはありませんが」
    「そうだよね、日本で広まったのは二十世紀になったころだし」
     さすがに刀剣男士にとってはなじみのない行事らしい。本丸でも特にその日を祝う習慣はないから、何をするかもよくは知らないだろう。
     これならば、あいにくの日取りを気にすることなくイレギュラーな仕事を頼めそうだ。
    「えぇとね、五月雨くん。実はその24日と25日なんだけど、ちょっと泊まりがけで政府に顔を出さないといけなくなってしまったんだ。近侍のあなたにも、いっしょに来てもらうことになるのだけど」
     なぜこんな日に本丸を離れる用事が入るのかとこんのすけに文句を言ってみたものの、12月も下旬となれば年越しも間近、月末と年末が重なって忙しくなるのはしょうがないと押し切られてしまった。
     この日程で出張が入って、しかも現地に同行してくれだなんて、人間の恋びとが相手なら申し訳なくてとても切り出せないところなのだが。
    「わかりました。お上の御用となると、宿もあちらで手配されているのでしょうね」
     現代のイベント 1136

    Norskskogkatta

    PAST主くり編/近侍のおしごと
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    主の部屋に茶色いうさぎが居座るようになった。
    「なんだこれは」
    「うさぎのぬいぐるみだって」
    「なんでここにある」
    「いや、大倶利伽羅のもあるっていうからつい買っちゃった」
    照れくさそうに頬をかく主はまたうさぎに視線を落とした。その視線が、表情が、それに向けられるのが腹立たしい。
    「やっぱ変かな」
    変とかそういう問題ではない。ここは審神者の部屋ではなく主の私室。俺以外はほとんど入ることのない部屋で、俺がいない時にもこいつは主のそばにいることになる。
    そして、俺の以内間に愛おしげな顔をただの綿がはいった動きもしない、しゃべれもしない相手に向けているのかと考えると腹の奥がごうごうと燃えさかる気分だった。
    奥歯からぎり、と音がなって気づけばうさぎをひっ掴んで投げようとしていた。
    「こら! ものは大事に扱いなさい」
    「あんたは俺を蔑ろにするのにか!」
    あんたがそれを言うのかとそのまま問い詰めたかった。けれどこれ以上なにか不興をかって遠ざけられるのは嫌で唇を噛む。
    ぽかんと間抜けな表情をする主にやり場のない衝動が綿を握りしめさせた。
    俺が必要以上な会話を好まないのは主も知っているし無理に話そうと 1308

    Norskskogkatta

    PAST主くり編/支部連載シリーズのふたり
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    審神者視点で自己完結しようとする大倶利伽羅が可愛くて仕方ない話
    刺し違えんとばかりに本性と違わぬ鋭い視線で可愛らしいうさぎのぬいぐるみを睨みつけるのは側からみれば仇を目の前にした復讐者のようだと思った。
    ちょっとしたいたずら心でうさぎにキスするフリをすると一気に腹を立てた大倶利伽羅にむしりとられてしまった。
    「あんたは!」
    激昂してなにかを言いかけた大倶利伽羅はしかしそれ以上続けることはなく、押し黙ってしまう。
    それからじわ、と金色が滲んできて、嗚呼やっぱりと笑ってしまう。
    「なにがおかしい……いや、おかしいんだろうな、刀があんたが愛でようとしている物に突っかかるのは」
    またそうやって自己完結しようとする。
    手を引っ張って引き倒しても大倶利伽羅はまだうさぎを握りしめている。
    ゆらゆら揺れながら細く睨みつけてくる金色がたまらない。どれだけ俺のことが好きなんだと衝動のまま覆いかぶさって唇を押し付けても引きむすんだまま頑なだ。畳に押し付けた手でうさぎを掴んだままの大倶利伽羅の手首を引っ掻く。
    「ぅんっ! ん、んっ、ふ、ぅ…っ」
    小さく跳ねて力の抜けたところにうさぎと大倶利伽羅の手のひらの間に滑り込ませて指を絡めて握りしめる。
    それでもまだ唇は閉じたままだ 639

    Norskskogkatta

    PAST主般/さにはにゃ(男審神者×大般若)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    主に可愛いと言わせたくてうさぎを買ってきたはんにゃさん
    「どうだいこれ、可愛らしいだろ?」
    主に見せたのは最近巷で話題になっている俺たち刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。といっても髪色と同じ毛皮に戦装束の一部を身につけているだけだが、これがなかなか審神者の間で人気らしい。
    「うさぎか?」
    「そうそう、俺のモチーフなんだぜ」
    うちの主は流行に疎い男だ。知らないものを見るときの癖で眉間にシワを寄せている。やめなって言ってるんだがどうにも治らないし、自分でも自覚してるらく指摘するとむっつりと不機嫌になる。そこがこの男の可愛いところでもあるがそれを口にすると似合わんと言ってさらにシワが深くなるからあまり言わないようにはしてる。厳しい顔も好きだがね。
    そんな主だから普段から睦言めいたものはなかなか頂けなくて少しばかりつまらない。そこでちょっとこのうさぎを使って可愛いとか言わせてみようと思ったわけさ。
    主に手渡すと胴を両手で持ちながらしげしげと眺めている。耳を触ったり目元の装飾をいじったり。予想よりだいぶ興味を示してるなぁと見ているときだった。
    「ああ、可愛いな」
    主が力を抜くように息を吐く。
    あ、これは思ったより面白くないかもしれない。そ 874

    Norskskogkatta

    PAST主村/さにむら(男審神者×千子村正)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    なんだかよくわからないけどうさぎのぬいぐるみが気に入らない無自覚むらまさ
    「顔こわいんだけど」
    「……huhuhu、さて、なんででしょうね?」
    近侍の村正がいつも通り隣に控えてるけどいつもより笑顔が怖い。
    手の中には村正と同じ髪色のうさぎのぬいぐるみがある。休憩中の今は最近販売されたそれを手慰みにいじっていたのだった。
    「尻尾ならワタシにもありマスよ」
    ふわふわの丸い尻尾をつついていると村正が身体を捻って自分の尻尾をちょいちょいと触る。普段からそうだけど思わせぶりな言動にため息が出る。
    「そういう無防備なことしないの」
    「可笑しなことを言いますね、妖刀のワタシに向かって」
    刀剣男士には縁遠い言葉に首を傾げつつも村正はいつもの妖しげな笑いのままだ。わかってないなぁとやり場のない思いをうさぎに構うことで消化していると隣が静かだ。
    ちらっと横目で見てみると赤い瞳がじっとうさぎのぬいぐるみを見つめている。その色が戦場にある時みたいに鋭い気がするのは気のせいだろうか。
    「なに、気になるの」
    「気になると言うよりは……胸のあたりがもやもやして落ち着きません」
    少しだけ意外だった。自分の感情だったり周りの評価だったりを客観的にみているから自分の感情がよくわかっていない村正 828

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも
    リクエスト企画でかいたもの
    霊力のあれやそれやで獣化してしまったちょもさんが部屋を抜け出してたのでそれを迎えに行く主
    白銀に包まれて


    共寝したはずの山鳥毛がいない。
    審神者は身体を起こして寝ぼけた頭を掻く。シーツはまだ暖かい。
    いつもなら山鳥毛が先に目を覚まし、なにが面白いのか寝顔を見つめる赤い瞳と目が合うはずなのにそれがない。
    「どこいったんだ……?」
    おはよう小鳥、とたおやかな手で撫でられるような声で心穏やかに目覚めることもなければ、背中の引っ掻き傷を見て口元を大きな手で覆って赤面する山鳥毛を見られないのも味気ない。
    「迎えに行くか」
    寝起きのまま部屋を後にする。向かう先は恋刀の身内の部屋だ。
    「おはよう南泉。山鳥毛はいるな」
    「あ、主……」
    自身の部屋の前で障子を背に正座をしている南泉がいた。寝起きなのか寝癖がついたまま、困惑といった表情で審神者を見上げでいた。
    「今は部屋に通せない、にゃ」
    「主たる俺の命でもか」
    うぐっと言葉を詰まらせる南泉にはぁとため息をついて後頭部を掻く。
    「俺が勝手に入るなら問題ないな」
    「え、あっちょ、主!」
    横をすり抜けてすぱんと障子を開け放つと部屋には白銀の翼が蹲っていた。
    「山鳥毛、迎えにきたぞ」
    「……小鳥」
    のそりと翼から顔を覗かせた山鳥毛は髪型を整えて 2059

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    リクエスト企画で書いたもの
    ちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅
    とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。
    枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。
    「から! りゅうみせて!」
    腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。
    「まず降りろ」
    「はーい」
    咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。
    狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。
    「勉強は終わったのか」
    「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」
    くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。
    この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。
    最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。
    大人し 1811

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも

    審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん
    飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。
    「小鳥、少しいいか」
    「なに」
     端末から目を離さず返事をする審神者に仕方が無いと肩をすくめ、山鳥毛は強硬手段に出ることにした。
    「うお!?」
     抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。
    「顔色が悪い。少し休んだ方がいいと思うぞ」
    「……今まで誰にも気づかれなかったんだが」
     そうだろうなと知らずうちにため息が出た。
     山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。
    「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 
     サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。
    「や 1357