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    かれーぱん

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    nrmt沼横断部

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    かれーぱん

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    付き合ってると思っているnrと一晩限りだと思っているmtが仲直りする話 前編
    中編はR-18
    GS1〜2くらいの時系列、nr視点

    #narumitsu
    #nrmt
    wrightworth/narumitsu
    #ナルミツ
    wrightworth/narumitsu

    フォロの商人 前編1_________________________
    「何か礼をしたいのだが…」
    DL6号事件を解決して間もなくの頃、営業後の事務所を訪ねてきた御剣が言った。
    出されたインスタントコーヒーをすすると、眉間のヒビはより深くなった。
    「別にいいって。コドモの頃の借りを返しただけだ、キリが無いよ。」
    そう、ぼくには御剣に借りがあった。返し切れないほどの大きな借り。
    小学生の頃、免罪で学級裁判にかけられた。誰も信じてくれなくて・怖くて・孤独で、そんなぼくを救ってくれたのが御剣だった。あろうことか被害者であるはずの御剣はぼくを庇ってくれた。「キミじゃ無いのだろう」そう言って学級裁判を収めた御剣は、ぼくにとってヒーローだった。それがキッカケで御剣と矢張とぼくは何となくつるむようになった。何をするにも一緒で、長くはない付き合いだったけれど、御剣はぼくにとってヒーローで、親友で、特別になった。
    御剣を追いかけて弁護士になり再会したとき、御剣は独りだった。「今度はぼくがおまえを救ける」御剣の事件は解決し、これで少しは恩が返せたと思っていた。
    「しかし……」
    こいつが引き下がらない理由もわかる。御剣にとって、あの学級裁判の事件は事件ですらないのだろう。コイツにはぼくに返される恩に覚えがないのだ。
    「わかったよ、じゃあ……」
    なかなか諦めない御剣にぼくは少しイラついていた。おまえにとっては、ぼくとの想い出なんて本当にその程度だったのか。
    「御剣。」
    「なんだ?」
    呼ばれたと思った御剣がぼくに顔を向けて聞き返す。
    「お礼は御剣がいい。」
    御剣の顔をじっくり見つめる。まだ分かっていないようだ。
    「ぼくたちももう、いつまでもコドモじゃない。一応言っておくけど、そういう意味で、だぞ。」
    御剣の顔をまじまじと見つめる。ようやく気がついたようだ。
    「な!?何を言っている!!?キサマ、ふざけているのか!!!?!!」
    御剣が慌てて立ち上がった勢いでコーヒーが少しテーブルに溢れ落ちた。自分で片付けてくれるだろうか。
    「ふざけているように見えるのか?御剣検事。」
    ぼくは表情を変えずに聞き返した。まだ何か言いた気な御剣を制止するため眼を離さない。
    「キサマは…そのような…いや、キミ個人のコトだ。……詮索はしない。」
    「ふーん、そう。」
    まあ、お互いもういいオトナだ。惚れた腫れたをいちいち口にする歳でもない。
    「じゃあ週末、どうせおまえ仕事だろ。おまえん家でいいよな?」
    「なぜそうなる!?」
    「だって、おまえの家の方が綺麗そうだし、ベッドも広そうだし。さすがにウチのシングルベッドに男2人はキツいだろ。」
    「ム。たしかに、わたしの家はシングルベッドではないが…」
    「何時になるか分からないし、終わったらここに迎えに来てくれよ。」
    「…………」
    「御剣?」
    「……わかった。」
    (なんだよ、今の間は。)
    「また連絡する。」
    「ああ、またな。」
    御剣を見送り、事務所の扉を閉めた後は長年の夢が叶ったような、まさに今夢の中にいるような、自分が曖昧な存在になったかのような、フワフワした気持ちでしばらく呆けていた。
    冷めたコーヒーを飲むと、抑えられていた興奮が立ち昇る。
    あの、御剣が、ぼくの御剣に!?しかも週末は、御剣の家で、デート…なのか!?
    それを自覚したとき、幸せを噛みしめるように思わずガッツポーズをしてしまった。
    さっきまで御剣がいた先に視線を向けるとコーヒーで汚れたカップとテーブルがあった。今では、ぼくの御剣が残していったものだ。そんなものさえ愛おしく思え、文句も出ず片付けを終えたぼくは帰路へついた。

    2_________________________
    約束の週末。ぼくは浮かれていた。
    それまでも何度か連絡を取り合ったが、当日ともなると実感が違う。
    携帯が鳴るのを事務所のトイレを掃除しながら待っている。
    (あいつのコトだから、仕事で遅くまでかかるだろう)
    そんな予想に反して、思っていたより早く御剣からメールが届いた。
    「今からそちらへ向かう。」
    「わかった」
    素っ気無い文章に素っ気無く返事をする。浮かれているなんて気取られてはいけない。絶対に。
    掃除用具を片付け、お湯を沸かし、インスタントコーヒーを飲んでひと息ついた頃、自分の腹の虫が鳴り響く。
    (少し早いけど、あいつも食べてないだろうし。家に行く前にまずはメシだな。)
    頭の中でこの後の計画を立てながら携帯と時計とコーヒーを交互に見る。
    「待たせた。」
    いきなり開いた扉と現れた御剣に驚き、飲んでいたコーヒーがシャツに少しかかった。
    「アツッ!いきなり来るなよ、ビックリしただろ!」
    「ム。すまない、ヤケドはしていないだろうか。」
    「ああ、反射的にアツいって言っただけで結構冷めてたから大丈夫だ。」
    「そうか。だが、シャツが汚れてしまったな。クリーニングに…」
    「いいって、おまえと違って安物だし。スーツ着れば見えないよ。」
    「そうか。」
    (今日はやけに素直だな、気味が悪いぞ。)
    「あー…おまえも晩メシまだだろ?」
    「ああ…」
    「この近くに美味いラーメン屋見つけたんだ、そこでいいか?」
    「ああ、ラーメンなど久しぶりだ。」
    事務所を出て、ふたりでラーメン屋へ向かう。
    少し後ろを歩く御剣の足取りが重く見えるのは、冬の寒さのせいだろうか。
    「ついた、ここだよ。」
    博多ラーメンののれんをくぐり、豚骨スープで蒸された店内へ入る。
    まだ夕飯時には早い時間だからか、客はカウンター席に3人いるだけだった。
    テーブル席に着くとコートと鞄を隣の椅子に置き、メニューを見つめる。
    「……御剣、決まったか?」
    「……ああ。」
    店員を呼び、注文を伝える。
    「豚骨ラーメン大盛りで。」
    「同じものを。」
    店員が去ってから店内を見渡すと本棚に置かれた漫画が目についた。
    「こういうとこって、だいたいゴルゴと美味しんぼ置いてるよな。」
    「そうなのか。」
    「おまえはあまり来ないか。」
    (ラーメン屋にいる御剣って、出来の悪い合成みたいだ。)
    「確かにあまり来ないが…キミはよく来るのか。」
    「ああ、真宵ちゃんがいた頃はラーメン屋のはしごとか付き合わされたよ。」
    「…そうか。」
    「この店は、真宵ちゃんは知らないけどね。」
    「?…なぜだ。」
    「真宵ちゃんと行くと味噌ラーメンばかりだったけど、ぼくは元々とんこつ派だし。豚骨系の店はひとりになってから通い始めたんだ。だから、誰かと一緒に来るのはおまえが初めてだよ。」
    「う、ム…」
    お待たせしましたー!
    御剣の言葉を遮り、店員が少々乱暴に丼をテーブルに置く。
    自分のラーメンを食べながら、向かいの反応をこっそり伺う。
    御剣が少し嬉しそうに見えるのは、ラーメンの湯気のせいだろうか。

    「たまには悪くないな。」
    「スナオに美味かったって言えよ。」
    食事を終え、店を後にしたぼく達は御剣が車を停めている駐車場へ向かった。
    「キサマは度々こういった食事をするのか。」
    「ん?まあ、そうだな。あとはコンビニとか、面倒なときはカップ麺とか…」
    「不健康極まりないな、カラダを壊すぞ。」
    「ぼくのカラダが頑丈なのは知ってるだろ。」
    「本当に人間か疑いたくなる程度には、な。」
    ぼくと並んで歩く御剣は満腹になったからか、機嫌も直っているようだった。さっきよりも口数が多くなる。
    (でも、ちょっと失礼だぞ。)
    「おまえみたいに豪華絢爛なものばかり食べてたら破産しちゃうよ。それに堅苦しい店より、こういう気楽な店の方がぼくは好きなんだ。」
    「わたしを何だと思っているのだ。そのような食生活をおくった覚えはない。」
    「でも、ラーメンは久しぶりだったんだろ?」
    「ム、そうだが…私だってコンビニを利用することもあるし、自炊もする。」
    「自炊!?おまえが!!?」
    予想外の回答に思わず大声が出た。
    「うム…時間ができたときに、たまに、だが、な。」
    (……意外すぎるぞ。)
    「おまえが自炊ねえ…食えるものが出来上がる想像がつかない。」
    「失礼だぞ、成歩堂。難しいものを作れる訳では無いが、食事としてはマトモだ。キサマよりは、な。」
    頭の中で自宅で料理をする御剣の姿を想像してみる。
    台所に立つ御剣、包丁を握る御剣、ヒラヒラのエプロンを着ける御剣…
    (……さすがにヒラヒラは無いな。)
    「……食べてみたいなあ。」
    つい溢れた言葉を慌てて弁解する。
    「あ、いや。興味本位というか、怖いもの見たさ…みたいな?」
    「ふ。いいだろう、その挑戦うけた。必ず罪を認めさせてやるぞ、弁護人。」
    駐車場に到着し、御剣の車に乗り込みドアを閉めると密室を沈黙が支配する。ぼくにも御剣にもさっきまでの威勢はない。
    「……なあ。」
    「……なんだ。」
    「……出発しないのか?」
    「……」
    (いきなり静かになるなよ!)
    「……ぼくを家に入れたくないのか?」
    「違う。そうではない……」
    背筋を伸ばし、ハンドルを握ったまま固まっていた御剣がフロントウィンドーに向かって呟く。
    「……これからキミと…そのような関係になるコトを考えていた。」
    (改めて御剣から言われると、すごく恥ずかしいぞ。)
    「礼をしたいと言ったのはわたしだ。いまさら、拒絶するつもりは無い。しかし…」
    御剣は何か考えている様子だったが、すぐにハンドルから手を離した。
    「キミと今までのように過ごせなくなるかと思うと、少し、躊躇する。」
    そう言った御剣の眼に涙は無かった。だけど、なんとなく泣いているように見えた気がした。だから、ぼくは御剣の頬を掴み、ぼくの方に顔を向けさせてから唇に軽くキスをした。
    「な、成歩堂!?いきなり何をするのだ!!」
    「声デカいよ。」
    「キサマのせいだろ!!!」
    だって、泣いてるおまえを見過ごせなかったんだ。おまえがそうだったように。
    「で、なにが変わったんだ?御剣検事。」
    「!?」
    虚を突かれた御剣の表情が面白くて、ついニヤけてしまう。
    「キスしても変わらないんだ。どんな関係でも、ぼく達は変わらないよ。」
    御剣はまたフロントウィンドーを見つめ直し、手で口元を確かめると
    「立証済みということか、弁護人。…くえない男だ。」
    そう言ってハンドルを握り直し、車を走らせた。
    (おまえは豚骨の味がしたぞ。)
    出そうになった言葉を飲み込み、車窓に反射した御剣の横顔を眺める。
    もう、泣くのはやめたようだ。
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