sweet iced memory街路樹から聞こえる大声で念仏を唱えるかのような蝉の鳴き声。
ビルの窓ガラスは陽光を照り返し、ギラギラと光っている。
アスファルトからは熱気が立ち上ぼり足元を揺らめかせていた。
夏、真っ盛り。
(あ、暑い…)
家電量販店のビルから出たロックは、もう少し涼んでからにしようと、店内に引き返した。最近は家電だけでなく食品や日用品、オモチャまでなんでも置いてある。あてどなくぶらぶらしていたら食玩のコーナーで珍しい姿の知った顔を見つけた。
サングラスにネイビーブルーのTシャツ、七分丈でカーキ色のカーゴパンツに足首の部分がくしゅっとした薄そうな濃いグレーのショートブーツ、白い革の手袋に工具が入ってそうなウェストポーチをして腰に黄色いマフラーを巻いている。
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