縫い合わされた世界で(仮)「ねぇパパ、これからどこ行くの?」
「こっからだと北の方角だな。距離的にはまぁ、行ってみねーとわからんが……
おやじ、誰からの手紙なんだ」
「ヴァン先生だよ。ギュスターヴ様の知り合いに当たる方への紹介状が同封されていてね、その土地の文化が違うから勉強になるだろうって」
「違う文化かぁ…楽しみだね〜。ね、パパ」
「そうだな。さっき手紙落としてってあのデカい鳥もすごいが、流石に喋る動物が出てきてももう驚かねぇ」
「そうだね〜、テンちゃん元気かな〜」
「さあな…アレはどう考えてもモンスターの類だけどな」
「テンちゃんはモンスターだけど優しい子なのよ?」
「わかってる、かわいい娘の友達だからな。
それにモンスターと友達になるなんてまず経験できない事だしな」
「正直僕は、…会ったことないから少し不安だけど」
「ん~~…
じゃあ今度、こーくん達に行き合ったら会えるよ!ね?」
「…不安だな」
「まぁいいじゃねぇか。見かけよりは良い奴だし、第一こんな世界じゃ何が起きても不思議じゃねぇしな。
それに、言葉が通じなくても意思疎通が出来る手段もあるんだぞ?ホント非常識が常識になっちまいそうだ」
「そうよ。おじーちゃんもこれからいっぱい、いーっぱい、色んな人や色んな存在に会えるのよ?
それにね…私、おじーちゃんとパパと一緒に旅出来るなんて、夢みたいで嬉しいの!」
「ジニーの方が現実的だな。
なぁおやじ、《奴》はもうどこにも居ないんだ。
もう少し気を抜けって」
「わかってる。
少し…まだ受け止めきれてないだけで」
「そういうのはこれから慣れればいい。
あんたはもう、自由なんだよ。
ずーっとずーっと、ずーーーっとエッグを追って生きた爺さんに対する、天からの褒美だと思えば良いさ。
違くても俺が許すし、異論は認めん。」
「もう、それはパパもよ?
帰ってこなくて会えなかった分、おじーちゃんと私といーーっぱい旅して過ごすの!」
「だ、そうだ。
良い孫持ったな。俺の娘だけど」
「………リチャード……ヴァージニア……2人とも……、
……ありがとう」
「さてと、そろそろ行こうぜ」
「うん!」
「…そうだね。出発だ!」
縫い合わされた世界で
【空白の時間を埋めに行こう】
「そういえば、テンちゃんとこーくんって…」
「んーっとね、おじーちゃんとパパを探してる時にとっても手伝ってくれた人達よ!」
………
誰かは…ご想像に任せます