銀高ss高杉が入院した。
なんでもバース性の検査数値が良くなかったとか。本人に問いかけても適当にしか答えてくれなくて、実のところは分からない。
ただ一言入院するとだけ言った高杉は自分で荷物をまとめると、それじゃと家を出て行こうとした。流石に送っていくからと後を追いかけると、仕事行けと冷たく言われた。
それどころじゃないだろと力の入った声で言えば、目に見えて高杉の雰囲気が萎んだ。なに、本当は落ち込んでたの……?
かかりつけの病院の玄関前で、高杉がここまででいいと言った。いや中まではと食い下がる俺に、心配するなと高杉は触れるだけの口付けを寄越して、ひらひら手を振って行ってしまったのだった。
寂しい。率直に寂しい。
普段二人の家に一人というのもある。しかしそれ以上に心の中というか、何かが欠けてつらい。理由は明らかだ。高杉と離れてもう三日目になる。
既に初日に限界を迎えて、病院へ向かうと面会は許可されていませんと言われてしまった。バース性の病院なので他の患者さんの兼ね合いもあって厳しいんですと受付の子が困った様に笑っていた。
トボトボと帰っていく俺の後ろ姿はさぞ情けなく映っただろう。
朝起きても一人。飯も一人。高杉は偶に早朝散歩に行くから、それがない分は長く寝れたけど、いい睡眠ではなかった。
気分転換に街を歩く。
あの着物高杉が着たらきっと似合う。高杉が好きそうな甘味処。前高杉が食べたいって言ってたやつセールやってるな。高杉、高杉、高杉。
「早く帰って来ねえかな……」
はあ、と嘗てないほど、大きなため息が出た。
寂しく夕食を摂っていると、家の電話が鳴り響いた。
「はい、坂田ですけど」
「こんばんは。私、高杉さんの担当の看護師なんですが、」
「高杉!?何かあったのか!?」
「あ、あの、落ち着いて!ご本人さんお変わりはないですから!」
なんだ、よかった。心臓がバクバクと音を立ててうるさい。
どうにか平素を装って、通話を続けた。
「実は持ってきて頂きたいものがあって」
「はあ、」
「何か、匂いのする物をと。会えないから、せめてって、ご本人さんの希望で。」
高杉が。会いたがってる。さっきとは違う意味で心臓が高鳴った。
「そ、それって、パンツとか……ですか?」
「いえ普通に着てる物でいいと……」
んだよ!巣作りのときはめちゃくちゃ喜んでるのに!
分かりましたと返事をして、電話を切る。
ちょっぴり頬を緩ませて、クローゼットの中を覗いた。