蛍光灯の白い光が差し込んできて目を開ける。ぼんやりと辺りを眺めるとどうも見覚えのある場所であった。狭い教室に長机がひとつと椅子がふたつ。壁には大きな本棚にロボット工学の本がぎっしりと詰まっている。
なるほどここは高校時代の部室ではないか。ロボット部、懐かしいな。働かない頭を何とか働かせそう考える。高校生だなんてもう十数年前のことだ、つまりこれは夢だな。幾分かハッキリとしてきた頭でそう考えると少しワクワクしてくる。ここは部室、ということは…そう思いキョロキョロと辺りを見渡すとやはり彼女がいた。
いつもは左目を髪で隠して目をキラキラと眩しいほど輝かせ、100メートル離れていても分かるほど存在感を放っていた彼女だが、今目の前にいる彼女はどうだろうか。少しの風で吹き飛ばされてしまいそうな、両目で見つめなければ見失ってしまうような、そんな不安定さを感じる。
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