両片思いに踏ん切りを付けるカミイブ・
「じゃあ、キスしようよ」
何時ものボヤキみたいに深司が呟いた
「…はぁ……?」
「キスしたらさ、本当の気持ちが分かると思うんだよね」
深司は淡々と説明した。
深司の言った本当の気持ちとは、俺の深司に対する好きは”友達”としてなのかそれとも”恋人”としてなのかということだろう、未だに絡まった糸のような思いは心の中で渦を巻いている。
高校生になった俺達はお互いにそれとなく身を寄せあったり、触れ合ったり時には手を繋いだりした。
その意味を深司は確かめたいんだろう。
「…わかった、しよう。」
中二の時に振られてからずっと隣にいてくれた深司は、俺の中では友達よりももっと特別で大切な存在になっていた。
だからこそ触れたいと思ったし体温を感じたかった、でもその特別は”友達の延長線上”に位置していると感じていた。だから俺は恋人になったら深司と友達じゃいられなくなることが心残りで、こんなにも曖昧な関係を深司が受け入れてくれるばかりに続けさせてしまった。
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