連理の鎖(一部・公開版) 鬱蒼とした森の奥。木漏れ日もそこそこに、目の前には蔦の中で座り込んでいる親友の姿。野鳥の囀りを背後に、見えない何かと戯れるように身を捩らせている。それは決して神秘的でも微笑ましくもない。むしろこれは皮肉だ。頭の痛くなるような光景に、飛皋は思わず眉間に皺を寄せた。
「何を遊んでいるんだ」
思ったことをそのまま声にすれば、彼ー芳准は、ようやく飛皋の存在に気付いて、一瞬表情を強張らせる。ああ、いや、ええと。視線を泳がせ、言い訳を探している間に、飛皋は彼に近づいていく。乾いた枯れ葉は音を立てて飛皋の足を柔らかく受け止めた。
足を止めれば芳准の頭上に飛皋の影が落ちる。腰に手を当て、飛皋は改めて芳准を見下ろした。
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