僕だけを見て(前編)アベンチュリンの膝の上に腰掛けながら、星はスマホをいじっていた。 隣にいる彼をまるで無視するかのように、画面に集中している。 アベンチュリンは少し寂しそうな声
を出す。
「僕を置いて楽しくゲームかい悲しいなぁ...」
「丹恒とやり取りしてるだけ。アベンチュリンは大人しくしてて。」
彼女があっさりと言い放つと、アベンチュリンの笑みが一瞬だけ凍りついた。僕の前で男とやり取りその言葉が胸の奥に冷たい棘を刺す。
彼は不意に星の首筋に顔を近づけ、 甘噛みするように歯を立てた。
「っ!!アベンチュリン 何するの!」
星が驚いて怯んだ隙に、アベンチュリンは彼女のスマホをするりと奪い取る。
「ねぇ、アベンチュリンやめて?大人しくしててって言ったよね」
彼女の声には焦りが滲んでいたが、 アベンチュリンの返事は冷たく低い声だった。
「僕は君が他の男とやり取りしてるのが嫌なんだ。」
その瞬間、星はようやく気づいた。 いつも優しい彼の声が冷たいことに。
おそるおそる振り返ると、そこにいたのは笑顔を失ったアベンチュリンだった。
「やっとこっち向いた」
彼の手が彼女の頬に触れる。次の瞬間、星は力強く唇を奪われた。抵抗する間もなく、そのキスは深く激しく続き、彼の嫉妬が伝わるようだったーー。