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    jil85045373

    @jil85045373

    軽めのものもポンポンアップできる場所として。
    使い勝手がよさそうならベッターのもこっちに移行するかも……?

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    jil85045373

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    攘夷時代に一夜の過ちを犯した過去を封印していた銀時が、原作終了後軸に再び高杉に押し倒される話。

    一夜の過ちを犯したことがある話(高銀)実を言うと、俺と高杉は十年と少し前に、一夜の過ちを犯したことがある。
    攘夷戦争の最中で、久しぶりに物資が潤っていた時期で、景気づけにとささやかな宴会を開いた夜だった。
    明日には散るかもしれない命。
    飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ。
    踊る阿呆に見る阿呆。そしてもうひとつ飲む阿呆。
    俺はともかくとして、高杉もその夜は珍しく酔っていた。
    浴びるように酒を飲み、溺れるように理性を溶かした。
    縁もたけなわとなった頃合には、二人でもつれるようにして部屋に戻った。
    浮ついた心地のままで、敷きっぱなしの布団に転がれば、何を血迷ったか高杉が覆いかぶさってきて、なんと口を吸ってきた。
    ははあ、これはどこかのいい仲の女と間違えているな、と悟ったが、まあ俺も随分と酔っていたので、されるがままにしてやった。
    途中で何度か起きようとしたが、そのたびに高杉に押し倒される。
    そうして、あれやこれやと天井の染みを数え終える頃には、俺の処女は目の前の男に奪われてしまっていたのだ。
    そして、次の朝に目覚めた高杉が放った言葉はたった一言。
    「忘れろ」
    ただ、それだけだ。
    実に簡潔で、実に合理的。
    ひゅー、と思わず俺は口笛を吹いた。
    一夜の過ちには打って付けの言葉である。
    さすがは色男。その手管で泣かせた女は数しれず。恐れ入ったよ伊達男。
    しかし、俺は女ではなく男なので、泣くことはせず、その罪作りな顔面に張り手をしてやったのだった。
    それでこの話は終わり。
    以来、その夜のことは俺も高杉も口に出すことはなかった。
    忘れてしまえば、傷も痛みも存在しない。
    そして二人は袂を分かち、光陰矢の如し、もしくは一日千秋といったように月日は流れる。
    奇なる縁で再び肩を並べて背中を合わせ、いよいよいざさようならとまた分かれたが、どういった巡り合わせかは今はなき師のみぞ知るといったところで、兎角、高杉は再び俺の前に現れた。
    酒を飲もうと誘ったのは、俺からだったか奴からだったか。
    存外、楽しい酒に気分を良くし、浮かれた心地でじゃれていれば、知らぬうちに宿に連れこまれ、敷かれた布団にごろんと寝転がされ、いつかの夜のごとく組み敷かれた。
    「なんだよ、退けよ」
    唸るようにそう言えば、高杉は黙って首を振る。
    「今更、何のつもりだよ?」
    思ったよりも拗ねたような物言いになり、自分で少し驚いた。
    「俺ァ」
    と、高杉がようやく口をひらく。酒に焼けた低い声だ。
    「俺ァ、お前には一度振られた身だが、どうにも諦めきれなくてな」
    高杉はそう言って、自嘲気味に口角をつり上げる。高杉の手が俺の襟元に忍び込んできて、肌の上を滑った。
    ぞわぞわとした感触に声を漏らせば、高杉は困ったように眉尻を下げる。
    「惚れてくれとは言えねェが、そう簡単に隙を見せてくれるな。乱暴してでも欲しくなっちまうからよ」
    いやいや、ちょっと。
    待ってくれ
    俺の上から退こうとする高杉の腰に足を回して、引き止める。
    高杉が怪訝そうな顔をするが、困惑しているのは俺の方だ。
    振ったもなにも全くもって覚えがない。
    心当たりがあるとすれば、二人で忘れたあの夜か。
    それなら尚更、覚えがない。
    「は?振ったのはテメェだろうが」
    「あ?テメェが俺の顔張っ倒してきたんだろうが」
    「は?忘れろったのはテメェだろうが」
    「あ?そりゃぁ……テメェ……」
    途端に高杉の歯切れが悪くなる。
    「んだよ、はっきり言えやコラ」
    酒の勢いで惚れてもいない男を掘っちまって、後悔して、忘れたくなったと。
    そうでなければ、なかなかあの台詞は出てこない。
    「あんな……あんな酔った勢いの事故みてぇなのが、俺とお前のはじめてなんて、格好つかねぇじゃねェか」
    「……」
    高杉はそう言うと、ぷいと顔を背けてしまった。
    「お前、それは、さすがに、下手だろう」
    「ずっと惚れてた奴とあんなふうに寝ちまって……。あの朝は俺も正気じゃなかったんだよ」
    「……」
    「離せよ」
    「嫌だね」
    高杉の腰に回した足に力を込める。迷ったように、高杉が俺の顔を覗き込む。
    「やり直させてくれんのか?」
    「嫌だね」
    俺はすげなく答える。
    馬鹿野郎。
    誰がやり直させてなんかやるもんか。
    「てめぇにとっちゃ、無かったことにしたい事故でもよ。俺にとっちゃ、忘れられねぇ夜だったよ」
    そう言って、俺から高杉の胸ぐらを掴み寄せ、その口に吸い付いてやる。
    目を白黒させる高杉の間抜けな顔に、溜飲がいくらか下がった。
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