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    nicola731

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    nicola731

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    前に書いた謎特異点の間話。メフメフお誕生日おめでとう。

    https://poipiku.com/1112421/9585088.html

    #メフコン
    mefcon

    メフコン 謎特異点 聖杯戦争で召喚されてここまでイレギュラーが過ぎると逆に冷静になる。新たな知見を得たコンスタンティノスは自分の膝に乗せた幼子の熱視線を受けながら悟りの表情を浮かべた。寝台に腰掛ける自分達の傍で元凶であるはずの都市女神は美しい微笑を浮かべるだけだった。
     確かにあの時この寝台に寝ていたのは死にかけた病人のはずだった。遠征の末に異国の地で、王の陣幕の内で、寝台の上で病に喘いでいたはずだった。コンスタンティノスは自分の目を疑った。しかし布の下から現れたのは柔らかい頬を持った幼い子供だった。
     自分を召喚したマスターであるはずのメフメトが、別のマスターに召喚されたキャスターが獲得した聖杯の力によって五歳にも満たない子供になってしまった。キャスター、都市女神「エディルネ」は特に説明することも無くニコニコを微笑んでいるだけだった。
    「おとうさま」
    「誰がお前の父親だ……あ、いや、違うんだマスター……」
     何故か父親呼ばわりしてくる子供にコンスタンティノスは複雑な心境になる。泣かれても困るので宥めるが遅かった。幼いメフメトはくしゅ、と顔を歪めて俯く。もだもだと手足を動かして床に降りた少年は「おかあさま」と女神に泣きつこうとした。しかし数歩目でつんのめって転んだ。
     倒れたまま「うぎゅっ」と泣き出す手前の声を上げるメフメトを見てコンスタンティノスは「王子のくせに泣くな」と叱りそうになる。だが女神に視線で黙らされてしまった。キャスターが后衣の裾から伸ばした連翹の枝で子供を起こし、抱き上げる。ぐすぐすと泣くメフメトは彼女があやせばすぐに泣き止んだ。
     コンスタンティノスは悩む。聖杯戦争は聖杯獲得者が出たので終了するはずだが、全くそんな気配がない。悩む彼だができることからやるしかなかった。


     兵士達の説得には手間取ったがキャスターの術で暗示に掛けて味方に付けることができた。今は彼等に命じて索敵をさせ、本国の情報も平行して集めさせている。情報が集まってくるまでは何もすることがなかった。あるとすれば近場の森での狩り程度だった。
    「おとうさま」
     革鎧に着替えたコンスタンティノスが鳥でも捕りに行こうかと支度をしている時にメフメトが話し掛けてくる。かつての敵にそう呼ばれることに慣れてしまった皇帝は「なんだい? メフメト」と膝を折って目線を近い位置にまで下ろした。子供は後ろ手で何かを持ちながらもじもじと靴先を見ていたが、意を決して顔を上げて、彼に紙の切れ端を差し出した。
    「し、詩を書きました。おかあさまが、ほめてくれて……おとうさまにさしあげたら、よろこぶって…………」
    「そうか。どれどれ……うん、素敵な詩だね。これは私の愛馬のことかな。 ありがとう、メフメト」
     笑みを作って褒めて、コンスタンティノスが小さな肩に手を置くとメフメトは嬉しそうな顔をする。
    「おとうさま、狩りに行かれるのですか?」
     羨望の眼差しで彼の持つ弓と矢筒を見てくる少年に、コンスタンティノスは問い掛けた。
    「一緒に行くか?」
    「! いいのですか?」
    「キャスターが許してくれたらな」
     彼の言葉を聞いてメフメトは背後の「母」を振り返る。彼女は微笑んで頷いた。
    「行っても良いって!」
    「決まりだな。では支度をしなさい。キャスター、手伝ってやってくれ」
     頼まれたキャスターは魔術で大人用の靴や服などを幼児用に仕立て直して「息子」に着せてやる。幼児は待ちきれないと足踏みしていた。準備ができたら転がるように駆けてコンスタンティノスの足に纏わり付く。いつも大人しい子供が燥ぐので彼はつい苦笑してしまった。抱き上げてやればメフメトは驚いてしがみついてくる。
     キャスターに留守を任せて幕舎を出ると、春の青空が広がっていた。コンスタンティノスの白馬は繋がれずとも自分がいるべき場所を理解しているらしく、陣幕の傍で待っていた。主人を見付けると嬉しそうに頭を上下させながら近付いてきた。
    「やあ、今日も頼むよ」
     コンスタンティノスがその鼻面を撫でてやれば馬は肯定するように勢い良く息を吐いた。白馬はメフメトの存在に気付いて耳を震わせる。そして主人の顔をちらりと見て首を傾げた。「コイツも一緒なんですか?」と言いたげな愛馬にコンスタンティノスは頷いて返した。
    「メフメト、ご挨拶は?」
    「こ、こんにちは」
     メフメトは恐る恐る手を伸ばして、馬の鼻に小さな手を近付けた。白馬は怯える幼児に対してぐわりと口を開けた。そのまま囓られると思ったのか、子供は慌てて手を引っ込めた。コンスタンティノスは愛馬を宥めて鞍の上にメフメトを乗せる。自分も跨がって手綱を握った。
    「よし。ではメフメト。今日の夕食はターキーだ!」
    「? たーきー?」
     知らない単語を不思議に繰り返したメフメトの声は、コンスタンティノスが馬の腹を蹴って早駆けさせたのですぐに歓声に変わった。









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