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    potetittu

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    potetittu

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    少しずつ描き始めているINFINITISM軸の「ジャマル漂流記(仮)」の一部です。設定がほぼ凄ノ王ですが色々混ぜ込んだ上にオリジナルの捏造を足しているのでもうなにがなんだかな状態です。起承転結の全体の内の転のプロローグ的なシーンなのですが、先に形にしておきました。後から組み込むときに描写を変更するかもしれないですし、初稿的な意味で出しました。

    少年と実のなる樹 少年には空気が必要なかった。
     彼は宇宙を漂流していた。何年、何十年、もっと永い永い間。ある目的があった。それをするために星を巡ってはまた旅をくり返していた。
     少年が空気を必要としないわけは、超能力があったからだ。超能力とは道具を使わずとも物を動かしたり、テレパシーが使えたり、テレポートができたりと多種多様だが、この少年の超能力は異常に飛び抜けていた。無から有を生み出すことができるのは、相当の精神エネルギーも体力も消費するのだが、彼はそのキャパシティが人の比ではなかった。
     あれだ――。
    行き着いた先は小さな惑星だった。重力圏内に入り、降下に身を任せながら超能力で衝撃を抑え着地する。まるで散歩にきたように身軽に降り立った様子に原住民たちは目を丸くした。
     大きく発展している様子もなく、集落がいくつかあるようだった。
     さっそく少年は大地に力を集中させた。ズッズッと地面から芽が生え、たちまちそれは大きな樹になった。樹は青々とした葉を賑やかに増やし、周りの空気を一変させた。
     原住民であるこの星の生物がワラワラと集まってきた。
     少年は彼らに樹を指差し何かを示した。住民たちが不思議そうに警戒しながら口々に疑問を投げつけた。聞いたこともない言語だったが少年はすぐに自分の言葉のように理解した。そして掌を上に向け樹から落ちてきたものをキャッチした。
     果実のようだった。少年はそれを住民たちに見せこう言った。
    〝これは食べ物だ、とても美味しいぞ〟
     その言葉は住民たちの頭に直接響くように伝わった。彼らの言語とは違っていたが、自然と少年の言った意味が分かった。奇妙な感覚に顔を見合わせていると、実を手にした少年はそれに齧りついた。ムシャムシャと食べる謎の生物を前に困惑していたが、次々と実っていく甘い匂いに我慢ができなかった。

     樹を囲むように群がる原住民たちを離れたところで少年は様子を見ていた。
     この星での役目は終えた。そろそろ立ち去ろうと腰を上げたら子供が一人こちらに近付いてきた。どうやら彼らと同じように実を食べたようで口の周りに果汁がこびりついていた。
     樹を指差し「あれは何?」と興味深そうに訊ねた。
    〝あれは樹といって、花を咲かせ、実をつくる。あの樹だけは特別で一本だけで実ができるようになっている。水をよくやるといい〟
    「水って何?」
    少年は空を見上げ、子供もそれにつられて上を向く。
    〝上から冷たいものが降ってこないか? それが雨という水だ〟
    「雨! 雨なら知ってる! 時々降る!」
     子供は身振り手振りで少年に伝えようとした。
    〝そうか、なら枯れないな〟
     それがその名前であると認識できたのが嬉しいようで何度も同じことを口にしていた。
    「雨! それが冷たいの名前! 水! それが雨の名前!」
     物覚えの良さに感心していると子供が少年の服を掴んで揺する。
    「雨! 雨降る! さっきのオイシイのも降ってきた! そしてアナタも降ってきた!」
    「アタシはイドゥン、アナタは何て名前?」
    〝俺か? 俺の名前はスサ〟
    「スサ! スサ! イドゥン、あの樹大事にする!」
    〝そうか、ならイドゥンの樹だな!〟
    「イドゥンの樹! スサ! イドゥンの樹、ニヒヒヒ!」
    〝俺はもう行く、さよならイドゥン〟
     イドゥンの頭を撫でた少年は、離れるように数歩下がりそして宙へ浮かび上がった。
    「スサーーーー! スサーーーーーーー!!」
     樹の周りにいた住民たちもイドゥンの声に気付き空を見上げ、不思議な少年が旅立つのをただ呆然と見守っていた。

     宇宙へ戻ってきた少年はまた旅を始めた。
     さっきの惑星のように時折、降りては樹を生やしている。それは彼にとって贖罪の旅であった。彼はかつて故郷を自ら滅ぼした。その時にこの世界の仕組みを見た。再び過ちをくり返さないために自らの記憶をエネルギーとして樹を植えていた。
     この世界を変えるために――。そのために彼は意志を持ち続ける限り旅を続ける。
     もう親しかった友人や家族、好きだった人の顔や名前も記憶から抜け落ちた。なぜあれほど怒りに憎しみに囚われたのかも忘れていくのだろう。残っているのは朱紗という名前と使命だけだ。だが自分の名前すらも分からなくなる時がくる。それでもこの使命だけは、意志だけは死なない、実に宿してきた。
     そして彼はまた漂う、宇宙では今が遠い過去なのか遥か未来なのかも分からない。確かなのは己が使命のみ――。目に映る天の川が眩しく輝いていた。
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    TRAINING少しずつ描き始めているINFINITISM軸の「ジャマル漂流記(仮)」の一部です。設定がほぼ凄ノ王ですが色々混ぜ込んだ上にオリジナルの捏造を足しているのでもうなにがなんだかな状態です。起承転結の全体の内の転のプロローグ的なシーンなのですが、先に形にしておきました。後から組み込むときに描写を変更するかもしれないですし、初稿的な意味で出しました。
    少年と実のなる樹 少年には空気が必要なかった。
     彼は宇宙を漂流していた。何年、何十年、もっと永い永い間。ある目的があった。それをするために星を巡ってはまた旅をくり返していた。
     少年が空気を必要としないわけは、超能力があったからだ。超能力とは道具を使わずとも物を動かしたり、テレパシーが使えたり、テレポートができたりと多種多様だが、この少年の超能力は異常に飛び抜けていた。無から有を生み出すことができるのは、相当の精神エネルギーも体力も消費するのだが、彼はそのキャパシティが人の比ではなかった。
     あれだ――。
    行き着いた先は小さな惑星だった。重力圏内に入り、降下に身を任せながら超能力で衝撃を抑え着地する。まるで散歩にきたように身軽に降り立った様子に原住民たちは目を丸くした。
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