人のデスクに紙飛行機を飛ばして、何かとアメリカさんにつっかかって、かと思えば都合のいい相手には媚びる東アジアの問題児。
僕の北朝鮮さんに対するイメージはこんな感じだ。はっきり言って苦手だし、仕事でも関わりはない。僕の周りはモンスターペアレントな誰かさんとアメリカさんがバチバチしているし、僕はインターンの身であるから他の社員の人たちとも関わりは比較的少ない。だから今まで北朝鮮さんと関わることはなかったし、しばらくインターン生である間は関わることはないだろうと思っていた。
　ただ、先日風向きが変わった。北朝鮮さんに喫煙室へ呼び出されたのだ。会社のチャットで「話がしたい」と言われ、断りたいけれど断る理由もないし、断ったら怖そうだし、と悩んだ結果了承の返事を送った。

ここまで来れば、暫くはあの人の目を逃れられる筈だ。
もう散々だ。いつもいつも私は周りの社員に虐げられている。もう20代になる私の息子にこんな姿を見られたら、羞恥と情なさで彼らに顔向けできない。
ふと、嫌になるほど聞き慣れた、革靴が床を打つ音が聞こえた。何故だ、ここは私しか知らないところの筈なのに——それは心なしか軽く、調子のいいように聴こえた。
「あ、朝鮮さん。こんなところにいたんですね」
目の下に濃い隈をつくっている、柔和な微笑みを浮かべたその男は言った。
「逃げないで下さいって前も言ったでしょう？もしかしてまた——『おしおき』されたいんですか？」