同級生 名取周一、という男が高校の頃の同級生にいた。
話しかけても愛想がなく、こちらにまるで興味がないという表情は見ていて気分のいいものじゃなかった。ただ顔がいいから女子にはモテるのか、よく呼び出しを食らっているところを見かける。
「誰だよ、これ」
男の顔がでかでかと映し出された広告を見て、思わず呟いてしまった。だって仕方がない。そいつは高校の頃の同級生と全く同じ顔と名前であったのだから。
「他人の空似……じゃあないよな」
あれだけ目立つ顔だったのだ、見間違えなど起こしようもないのだが、記憶のある表情とあまりに違いすぎているのだ。覚えている顔はいつも眉間に皺を寄せて、周りになんてまるで興味がないというような表情だ。それが、どうだろう。
何かキラキラとした空気さえも纏っているような爽やかな笑顔で、なんというか、遊び人のような印象を受ける。