お誕生日 誕生日おめでとうございます。
日付が変わった瞬間、誰よりも早く誕生日を祝いたくて、小さく呟きながら師匠にメッセージを打つ。
すぐ既読になったのを見て、ふふっと微笑んでいると携帯が震えた。師匠からの着信だ。
「あ、師匠。誕生日おめでとうございます!」
『お前何回言うつもりだ』
「今日は何度でも言いますよ!」
そう伝えれば、はぁっとため息の後、少しの間を置いて素直にありがとうと返された。てっきりはぐらかされるとばかり思っていたので少し驚く。
『な、なんだよ』
「いえ、師匠は今日も可愛いなぁって思いまして」
小さい声でうるせぇと返され照れてるな、と思わず笑顔になる。ほんとに可愛い人だ。
面と向かって言えないのは寂しいけれど、師匠は俺よりもネオシャドルーの皆を大事にしているからしょうがない。俺は二の次でいい。と自分に言い聞かす。
「師匠、生まれてきてくれてありがとうございます」
『っ、』
瞬間、がちゃりと部屋の扉が開く。え?と思って目を向けると、そこには師匠が立っていた。
「そういうのは直接言えよ」
「えっ?なん、え?だって今日は帰るって」
「別に、ちょっと時間が空いたから来ただけだ」
思わず立ち上がり、師匠を抱き締める。ちゃんと感触があって、嗚呼、本物だ。と思う。
きっときっつきつなタイムスケジュールの中、時間を作ってくれたんだと思うと愛しくてしょうがなかった。
「……師匠、ありがとうございます」
「直接は祝ってくれないのかよ」
「ふふ、誕生日おめでとうございます」
腕の中の彼に、とにかく自分の想いを乗せて囁やけば、嬉しそうに笑んだので頭を撫でてやる。
「エドくん、生まれて来てくれてありがとうございます」
「……ばぁか」
照れくさそうに笑う彼をぎゅうぎゅう抱きしめながら、そっと唇にキスを落とした。