夢 夢というのは一説によると記憶の整理や無意識の願望の表れだという。
ではこれは自分が密かに抱いている願望なのだろうか、と澄野は戸惑った。
「い、今みた夢って……」
時刻はまだ朝のチャイムすらも鳴っていない朝方。澄野にしては珍しく早く目覚めたようだ。
未だ心臓がドキドキとしている。
それぐらい澄野にとっては衝撃的な夢だった。衝撃的で、甘いひと時だった。
「お、俺…面影と……」
先程みた夢を思い返す。
澄野が面影の手を取り指を絡めると、面影は頬を赤く染め熱い視線でこちらを見つめてきた。
『澄野くん……』
いつも澄野をからかう時とは違い、甘く蕩けるような声でこちらを呼ぶ面影。緊張と期待でしおらしくしている面影の姿に澄野は強く惹かれていく。
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