若き聖堂騎士の試練息をするのも忘れそうな威圧感。全身がぞわりと粟立つ。
この感覚は──そうだ、カルディナ機関長と初めて剣を交えたときのものと似ている。
目の前に対峙する人間が何倍にも大きく見えるような、そんな錯覚すら覚えるほどのプレッシャー。
僕は目の前の人からかろうじて目をそらさないまま、少しだけ息を吐き、剣を鞘から引き抜いた。
相手は杖を構えて、鋭い視線で僕を睨みつけてくる。それはまるで、テメノスさんが異端を暴くときの表情とよく似ていた。悪事を絶対に見逃さない視線。似ていると感じるのは、やはり二人が家族だから、だろうか。
「クリック・ウェルズリー君」
よく通る声で、目の前のロイさんが口を開いた。
「見極めさせてもらうよ。君が、テメノスに相応しい人間か」
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