その秘密はカワセミだけが知っている 伸びやかに呼吸する木々や植物の薫り揺蕩う森。そこにさらさらとゆっくりと小川が流れている。小川に裸足を浸し、気持ちの良い冷たさと緩やかな流れを堪能している神官が一人。
「こんなところでサボっていたのかい、テメノス?」
声をかけられた神官が背中越しにゆっくりと振り返る。
「君もどう?冷たくて気持ちいいよ、ロイ」
サボっていることを微塵も悪びれもせずにテメノスはロイを誘う。
「まったく、君は……」
「だって今日暑かったから」
「まあ、確かに」
「だからさ……」
ぱしゃんっ、とテメノスは濡れた足先で川面を蹴った。
「一緒に涼もう、ロイ?」
ね?と楽しげに笑う幼馴染につい絆されてしまう。どうにもこの笑顔に昔からロイは弱い。
1935