尊いって、呟きたいっ! ライブ本番前、慣れない新人スタッフの男が人の間をぬい自分に課せられた仕事を慌ただしくこなしていた。彼の担当はリーダーの澄野とギターの面影のサポートだ。
「澄野さん、面影さん!リハお疲れ様っす!こちら水とタオルです!!」
二人はスタッフから受け取ったタオルで汗を拭きながら水を2人は美味しそうに飲み干していった。
「リハ、ちょっと俺ら熱くなってたから助かった!」
リーダーである澄野からお礼を言われ、スタッフの男は嬉しさで舞い上がる。バンドグループ、『ハンドレッドライン』、通称ハンドラ。リーダーである澄野拓海の満面の笑みはこちらまで元気を貰えるほど眩しい。口元を開けながら笑う笑顔は愛らしいのに、いざ歌い始めると力強く引き込まれ圧倒される。そのギャップが特に女性ファンの間では人気だ。
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