『愛情表現』『秘密』 Side:面影
澄野の愛情表現はとてもわかり易い。喜怒哀楽、ころころとよく変わる表情を見せながら全力でこちらに気持ちをぶつけてくる。
「好きだ」と少し照れながら耳元で囁き慈しむように手を握りこちらをときめかせたり、そのまた別の日には面影のことを無言で抱きしめ離そうとせず甘えてきたりする。
キスひとつとってもそうだ。触れるだけのキスを擽るように何度もしてきたかと思えば、噛みつき貪り荒々しく獰猛に奪ってくる時もある。
子犬のように可愛らしく、かと思えば雄々しく大胆に接してくる。
顔を赤く染め照れながら優しくこちらに触れてきたかと思えば、熱い視線でこちらを捉え逃さない。
──カワイイなあ、澄野くん
澄野からの愛情表現を受け取るたびに面影はそう思っていた。澄野の言葉が、仕草が、態度が、面影の中で愛おしさをどんどん募らせていった。
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