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    violetsnake206

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    基本的にこういう1日を過ごしてそうだなって思って……。マンガに出来ないから小説にしました。
    元ネタ
    もちうささんの生のカンバス(ヒイラギくん・ツクヨ先生)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330660533409912
    不死の呪いと魔法使い(ジュジ・カティーア)
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054884402503

    #不死魔
    immortalDemon
    #クロスオーバー
    crossover

    クロスオーバーカティーアの1日 朝、俺の宝物ジュジを起こす前に朝食を作る。乾いた魚で出汁を取ったスープに炊いた米を入れて香味野菜をまぶしておく。それから旬の果物と、塩漬けにした瓜を薄く切ったものを小さな皿(豆皿というらしい)に乗せて愛しいジュジを目覚めさせる。
     今日の仕事は簡単な書類の整理だけで済むだろうから、彼女が家を出てから掃除を済ませて、ヒイラギくんのところにでも顔を出そうかと思案する。
     愛しい宝物が「明日こそは私が朝食を作ります」と言って家を出て行くのを見送ってから、朝の身支度をする。今日は暖かいから、薄手の服でも良いだろう。

     そういえば、ツクヨはまた寝ないで作業を続けているのだろうか。昨日の夕に別れたときは作業をはじめるところだったが。午後に顔を出して飯でも食わせてやろう。

     自室と共有部分を掃除して、洗濯も乾燥まで魔法で済ませてから外へ出る。こちらでの通貨を稼ぐためとはいえ仕事を手広くしすぎた。ヒイラギくんの画廊への出資だけでもよかったくらいだが……影響を与える範囲は広い方が色々役に立つことも多いと割り切るしか無い。そんなことを考えながらジュジの職場の前を通り、ヒイラギくんの画廊へと顔を出しに行こう。仕事中に顔を出すとジュジに「集中出来ないので来ちゃダメです」と叱られるので、遠目で見るだけで我慢をしたとヒイラギくんに話しつつ、次の展示の打ち合わせと画廊の経営状況について話し合う。彼が真面目で仕事が丁寧なお陰で金をかければ掛けるだけ収益が出るから感謝している。正直赤字を垂れ流しもいいと思っていたが、金が増えるのは俺も嬉しい。だが、彼は色々自分でやるくせが強すぎる。金を出すから経理を雇って君はもっと休めというと「ツクヨ先生の画材代などの処理もありますので…」と渋っていた。「それは画廊の出費とは別にして俺に請求してくれ」というと少し不服そうにしながらも納得してくれたようだった。

     簡単に打ち合わせを終えて、ヒイラギくんはジュジと昼食なのだといそいそと画廊を出て行った。俺も一緒にどうかと誘われたが、打ち合わせだというと少し残念そうな表情をしてくれたのでとてもうれしい。「これで好きなものでも食べてくれ」と幾ばくかの紙幣を渡して、商会での打ち合わせへと出掛ける。
     出資の取り決め、船団への貨物の振り分けなどを適当に決め、サインが必要な書類に目を通してから事務所を出た。
     少し遅くなるが、昼食はツクヨと食べればいいかと街で適当に材料を買い込んで自宅へ一度帰る。あいつは俺が魔法を使えるのを知っているから移動が楽で助かるな。

     転移魔法であいつの家の前まで移動する。それから施錠されていない扉を開いた。ここにいないということは、アトリエの方にいるのだろうと向かうと案の定、一心不乱に作業をしているツクヨの背中が目に入る。
     午後の予定もないしと、作業を見ていると一段落したのかツクヨが手を止めてこちらに気付いたようだった。
     こちらへ来て頭を撫でてくるツクヨに軽くキスをしながら「昨日から作業を続けていただろう? 一緒に食事をしよう」と伝えると、あいつの腹の音が大きくなった。
     葉物野菜、ネギと豚肉を一緒に炒めて、塩胡椒を振る。ヒイラギくんが以前教えてくれた豆をペーストしたものに辛味を加えた調味料を加えてさらに火を加えてよく混ぜる。皿に適当に盛り付けてやって食卓へ向かうとツクヨは一足先に酒を飲んで待っていた。箸を手渡して一緒に少し遅い昼食を食べてから、あいつは作業を再開するという。
    「片付けをしたら、お前の作業を手伝えるが……」というと、筆を洗って乾かしてくれだとか、汚れた作業場を掃除してくれと遠慮無しに色々と用事を言ってきたので快く応じる。
     魔法でサクッと食器も洗い、言われた通りに筆を洗って乾かして、作業場にこびりついた血を洗い流す。それから作業場に酒を持っていってツクヨの作業を見学する。いつ見てもすごい作業だなと思う。美術のことはなにもわからないが、こいつの絵を見てると心のどこかに空いている寂しいと感じる穴が少しの間だけ埋まるような気がして、作業を見るのも作品を見るのも時間を忘れるくらい好きだった。作業の手を止めてツクヨがこちらに来て左手の手袋を外して好き放題弄くり回してからまた作業へと戻っていく。この呪われた手を怖がるどころか、気に入っているように撫で来る回すのはあいつくらいだ。今でこそ愛しそうに触れてくれるが、ジュジでさえ最初は怖がっていたっていうのに。変なやつ。

     日も暮れてきたので「帰る。明日も暇だから来ると思う」と伝えると、ツクヨはわかってるんだかわかってないんだか曖昧な返事をしていた。作業中のツクヨは話しかけてもいつもそんな感じだから、まあいいか。明日もまた来るから、作り置きはしなくていいか? なんてことを考えながら動物たちの寝わらを整えて、糞の掃除をもう一度してからツクヨの寝室へ入る。施錠をしなくてもここで転移魔法をするのが一番安全なのがなんだか妙な感じだ。勝手に内鍵をつけたけれどツクヨはなにも言ってこないし、今度勝手に本棚とランタンでも持ち込んでやろうかななんて思いながら転移魔法を使って帰宅した。

     ジュジはまだ帰って来ていないらしい。調理場へ行って豆を煮て固めたらしいもの(トウフというらしい)を保存箱から取りだして小さく切っていく。先に挽肉とネギを一緒に炒め、豆を発酵させてペースト状にした調味料と共にトウフを加えていく。
     鍋で米を炊いて、ジュジに帰りを待つ。日が暮れたからそろそろ帰ってくるはずだ。
    聞き慣れた足音が近付いて来たのがわかったので、ジュジが扉を開くのを玄関で待ち構える。
    「おかえり、俺の宝物。今日はお前の職場前を通ったがちゃんと寄るのを我慢したんだぞ」
     そんなことを言って彼女を抱きしめながら出迎えた。

    「ヒイラギさんから聞きました。もう……たまになら、顔を出しても良いですよ。ヒイラギさんが不憫がっていましたから」

     とジュジが眉を下げながら笑って言ってくれた。

    「ヒイラギくんに今度お礼を言わないとな」

     と言いながらジュジを食卓まで連れていく。彼女の椅子を引いて座って貰ってから夕食を小さな皿へよそって並べていく。 
     二人で向かい合って食べるこの地方の料理はとても美味しい。米の炊き方も、料理もヒイラギくんから教わったものだった。

    「ジュジ、美味しいか? 以前ヒイラギくんから聞いたトウフの肉味噌和えという料理らしい」

    「美味しいですよ。すごく」

     ニコニコとしながら食事を頬張るジュジにほっとしながら、俺も料理を口にする。味見はしているが、やはり大切な人が美味しそうに食べてくれるまでホッとは出来ない。すっかり箸の使い方もなれてきたジュジを見ながらここでの生活がそろそろ一年になろうとしていることを思い出す。

     最初はどうなるかと思ったが、ヒイラギくんに出会って、ツクヨの絵を知ったときからここに長居しようと決めていた。そして、それは結果的には正解だったと思う。ヒトの年齢差でいうとそこそこ離れているらしいが、それでも仲の良い友人が出来たのは喜ばしいし、ヒイラギくんは俺から見てもとても良い子だ。それに、俺にも友人らしい相手は出来た。友人と言うには、一緒にいて楽すぎるし、遊び方も特殊なものになってしまっている気はするのだが。あいつも俺のことを少しは気に入っているらしいし、友人という枠組みで問題はないだろう。
     これからも仕事をしつつ、のんびりとカルカザの街ですごしていけたらいいなと思う。
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