By your side 〜つながるふたつのものがたり〜 の続きどすんと腹に響く音が聞こえ、カーテンを開けた。濃紺の空には色とりどりの花が咲いている。
今日は近所で花火大会が行われていた。黒尾の部屋の窓からもそれを見ることが出来る。あんまりよくは見えないけれど、ま、ラッキーってことでと涼しい室内から見物客で混雑する街を見下ろした。
夜空いっぱいに広がる花火を見て思い出したのはつい先日終わったばかりのスポーツの祭典だ。閉会式に上がった無数と言いたくなるほどの花火はそれはそれは見物だった。
こういう時に用意していたプレゼントを渡せたらロマンチックだったことだろう。
そう思ったものの、その時の黒尾は後半の競技の関係者が使うからと選手村から出てあらかじめ予約しておいたホテルにいた。
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