雨雨
「さむいな……。」
「そりゃあな。どしゃ降りじゃねえか。」
独り言ちる。すると返事が返ってきて、俺は隣に立つ少し背の高い奴を見遣った。
「いたのか。」
「今来たんだよ。気付いてなかったとはな……。」
確かに、声を掛けられた気がしなくもない。本日霊とか相談所の予約や客入りは疎らで、今は暇つぶしにネットサーフィンをしていた所だ。
パソコンから手を離し、簡易台所へ向かう。
「なんか飲むか?」
「茶。」
「はいよ。」
エクボはなんでもないように言ったが、わざわざ身体を借りてきて何がしたいのか。茶が飲みたいだけで来るはずもない。「ほらよ。」と手短に淹れた茶を差し出した。
こちらを見つめるエクボ、なんだ。なんなんだ?
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