プロローグ 組織は無事壊滅した。薬の情報も入手し完成した解毒剤で二人とも元の姿に戻って無事ハッピーエンド。とはいかないのが人生だ。
宮野志保は未成年であったこと、毒薬は偶然の産物で彼女自身に毒を作る意志はなかったことから保護観察処分となった。とはいえ、彼女を引き取ってくれたのは灰原哀の頃からお世話になっている阿笠博士。実質無罪放免と言ってもいい状況だ。自由な生活と引き換えに志保に与えられた条件は三つ。
『今後一切薬の開発に携わらないこと』
これは当然だろう。科学者は好奇心の塊だ。たとえ悪意はなくても時にその異常なまでの探求心が厄介なものを生み出してしまうこともある。
『携わる業務、または研究内容について定期的に報告をすること』
1894