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    悠花❄️🍑

    @yuka__1100kb
    長い話の進捗やら、書きかけ話の供養やら

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    ※カスホプ
    “王になるということは跡継ぎを残すということ”をテーマに書こうとしたカスホプ(本編後の世界線)当時支部にあげようと思って書き始めたもののネタ被りが怖くて途中で書くのやめちゃったやつ。2年以上越しに発掘されたので供養(18禁作品になる予定だったけど突入する前に力尽きてた)

    #ユキモモ
    #カスホプ
    kashop

    .



     寝巻きに着替えてひとり。ぼふんとベッドに転がった。今日も一日頑張った。月に一度の定例会見も終わってホッとする。大勢の人の前で話すのはやっぱり緊張するけど、エテルノのみんなの顔を直接見れるあの時間が僕は好きだ。
     ……でもやっぱり結構疲れてるのかも。横になってると、うとうと目蓋が閉じてくる。このまま寝ちゃおうかな。でもちゃんと布団かけないとカースに怒られちゃうかも。カースと一緒に寝てた頃が恋しくて、枕をぎゅっと抱き締めた。睡魔に引っ張られていったその時、トントントンとノックの音が聞こえた。カースかも!
     ふっと起き上がると、ベッドの端に座る。

    「はーい!」
    「失礼します。……ホープ、今日もご苦労様です。最近特に勤勉ですね。疲れてはいないですか?」
    「うん! 大丈夫! 僕、今のお仕事好きだから忙しくてもへっちゃらだよ! 今日もみんなの笑顔が見れて嬉しかった!」
    「ふふ、ホープらしいですね。民が笑顔なのは貴方のお陰ですよ。私も誇らしいです」
    「えへへっ、みんなのお陰だって!」
    「そういうところも、貴方らしいですね。さ、今ホットミルクを入れますから。ゆっくり休んでください」

     わーいと両手を上げて喜ぶと、カースは優しく口元を緩ませた。僕と違ってカースはあんまりニコニコ笑わないけど、心の中では僕とおんなじくらい笑ってくれてることが伝わってくる。カースが手に持つ陶器のジャグからはほかほかと湯気が上がる。カースの作ってくれるホットミルクは甘くて美味しいんだ。待ちきれなくて脚をぷらぷらさせてると、すぐに湯気の立ったコップを手渡してくれた。

    「熱いので気を付けてください」
    「うん!」

     ふーふー息を吹き掛けて一口飲む。小さい頃から変わらない味にほっこりと心が暖まった。王さまになって変わったことは凄くいっぱいあるけど、変わらないものもちゃんとある。どっちも同じくらい大切だ。

     ごくごくとコップを傾けながら、チラッとカースの方を見る。水晶みたいにきれいな目がじっと僕を見てたから、目が合っちゃって。なんだか凄くどきどきする。最近カースに見つめられると心臓がムズムズする。……カースはなんにも変わってないのに、僕ひとりだけ変みたい。

     飲み干して膝の上にコップを乗せていると、カースはわざわざベッドの方まで取りに来てくれた。目の前で少し屈んだカースの目線は僕と同じ高さになる。また鼓動はとくとく速くなった。

    「ホープ、就寝前に突然申し訳ないですが……ひとつ、真面目な話を良いですか?」
    「……真面目な話?」
    「はい」
    「いい、けど……」

     なんだろう。ドキドキしながら頷くと、カースは真剣な目で僕の目を見る。

    「……ホープは今、好きな子などいないのですか?」
    「えっ……好きな子……?」

     カースの質問に、ドキッとして息を飲んだ。なんでそんなこと聞くのかな……。……ちょっと前までなら“カースだよ”って言えたのに。なんでか今は恥ずかしくて素直に言えない。……言えない、というか、言っちゃいけない気がして……。

    「いない、よ……」
    「……そうですか」

     カースは眉をハの字にして頷いた。喜んでるのかがっかりしてるのか分からない表情に首を傾げる。

    「……では、そろそろお見合いなど検討されてはどうでしょう」
    「お見合い?」
    「はい。ホープもいつか年齢を重ねて王位を退かれる日が来ます。その時に継承者がいないと困るでしょう。特に、星玉の加護を受けるためには、エテルノの王族の血を引いた者であることが必須条件なのです」
    「……って、ことは……」
    「……君が結婚してご子息を残すことが、この国のためになるのですよ。ホープ」

     結婚、子孫、自分にはまだ縁遠く感じる大人な言葉。……って、思ったけど。そう思ってたらいつまで経っても僕は子供のままだ。カースも遂に僕のこと“大人扱い”しようとしてくれてるのかな。

    「……僕が子孫を残すことが、カースの願い?」
    「……はい。ホープが立派な王になることが、私の祈った願いですから」
    「……っ、そっか! カースがそう言うなら僕頑張るよ!」
    「偉いですね」

     カースに頭を撫でられて、さっきまでのドキドキがふわふわに変わる。気持ちくて、うれしくて、もっとさわって欲しくなる。
     本当はね、これ以上家族を増やしたいとは思ってないんだ。家族がいっぱいいる子を羨ましいと思ってた時期もあったけど、カースと二人で家族ってことが今はなによりも幸せだから。でも、だけど、カースの期待には応えたい。まだまだ僕のことたくさん褒めて欲しいから、頑張ってみようかなって。

    「では、いきなりで申し訳ないですが……明後日、お城の方にエテルノでも有数の商人の方がいらっしゃいます。娘さんも連れてこられるようなのでそういった席を設けましょう」
    「え、明後日!? いきなりすぎるよ!」
    「大丈夫です。今日明日で婚約者を決めろという訳ではありません。大事な選択だからそ、今のうちから少しずつ“そういうこと”にも慣れて欲しいということです」
    「……うぅ、分かったよ……」

     ちょっと乗り気じゃない風に返事をすると、カースは困った風に笑った。

    「詳しい話はまた明日しますね。就寝前にすみませんでした」
    「ううん、それは……良いんだけど……」
    「どうしました?」
    「……たまにはカースと一緒に寝たい。……ダメ?」

     部屋を出ていこうとしたカースの服の裾を掴んだ。カースは僕の機嫌を取る時の顔をする。

    「ホープ、先程までの話を聞いていましたか?」
    「……うん」
    「伴侶を迎えようという話をしたばかりだというのに。少しは“父離れ”をする努力をしてください」

     父離れって……カースだって子離れ出来ないくせに。唇を尖らせていると、嗜めるようにおでこにちゅっとキスを落とされた。

    「これ以上の夜更かしは身体に障りますから。……おやすみなさい」
    「……おやすみなさい」

     不貞腐れながら挨拶を返す。カースが出ていった扉を見つめて、息を吐く。唇が触れた場所がじくじく熱い。

     カースと離れるのなんて嫌だよ。
     折角一緒にいられるのに。
     カースと離れなきゃいけないならお嫁さんだって子供だっていらない。

     ……いつまでもカースと二人じゃだめなの……?


     * * *


    「……おやおや、今日のお嬢さんもお気に召しませんでしたか?」
    「……うん」

     後ろめたい気持ちを飲み込みながら頷いた。今日会った子も凄く可愛くて優しくて素敵な女の子だった。僕には勿体無いくらい。だから、こんな風に断るのは心苦しいんだけど……――

    「ホープは私が思ってたよりずっと理想が高かったようですね」
    「そういうわけじゃ、ないよ……?」

     ――……自分の気持ちは誤魔化せなかった。

     カースはどうしようかと悩むように顎に手を当てる。それもそうだ、カースが探してくれたお見合い相手を断るのはこれでもう20人目。どの子にも全く興味を示さない僕にカースもお手上げだろう。

    「……では、君の好みを聞かせてくれませんか?」

     曇りのない瞳でそう聞かれて、チャンスだと思った。今、ちゃんと伝えないと。恥ずかしがってちゃだめだ。

    「……うん。あのね……髪が、長くて……頭が良くて……いつも優しくて、仕方ないなって笑いながら僕のこと甘やかしてくれる人。僕がずっと一緒にいたいと思うのは、そういう人だよ」

     ……ねぇ、カース。分かるでしょ? 気が付いてよ、僕の気持ちに。

    「……では、その方向でまた探してきますね」
    「……っ、」

     どうして分かってくれないの。癇癪を起こして泣きつきたいのに、それが出来ない。


     僕は、カースのことがすきなんだ。


     どれだけ魅力的な女の子と話しても頭に浮かぶのはカースの顔だけ。カースと一緒にいる時の方がドキドキするし、もっと触れあいたいとも思う。だから、気が付いちゃったんだ。

     勿論カースのことはちっちゃい頃からずっとずーっとすきだったよ?
     でも、そうじゃない。
     最近芽生えたこの“すき”はそれと同じ“すき”じゃない。
     一緒にいたいだけじゃなくて、もっと触って欲しいし、触りたい。ちゅーだっておでこだけじゃ満足出来ない。

     そんなことに気が付いてから、余計にお見合いに身が入らなくなってしまった。
     ずっと断り続けたら、カースも諦めてくれるかな。でも、王さまとしてカースを喜ばせたい。自分が二つに割れちゃいそうで、ぐちゃぐちゃで、苦しい。


     いっそ、カースとの赤ちゃんが出来たら全部解決するのになぁ……。



     * * *



    「また、今日も駄目でしたか……」

     長髪で思慮深い方を連れてきたのですが、とカースは呟く。断るのももう何人目か数えてない。そんな僕をカースはため息混じりに見つめた。

    「……ホープ、やはり無理をさせてしまっていましたか? 最初からお見合いなんて乗り気じゃなかったでしょう。……もう少し大人になってから始めれば良かったですね」
    「……っ、そんなことない! そんなことないよ! 僕、立派な王さまになってカースのこと安心させたいんだもん!」
    「ホープ……」

     急にむきになった僕を前に、カースは困り果てたみたいに眉を顰める。
     でも、もう、子供扱いされたくないんだ。

    「だから、あのね……次こそはちゃんと、するから……」
    「……?」
    「その前に、カースに教えてもらいたい。……赤ちゃんのつくりかた」

     カースの服の裾を掴んで、言いきった。恥ずかしくて、どんどん顔が熱くなる。カースの顔が見れない。

    「……私が、女性役をすれば良いのですか?」

     カースはいつもみたいに仕方ないなって顔で笑う。僕のワガママを聞いてくれる顔だ。

    「ううん、僕が……おんなのこやる」
    「……そうですか」

     神妙な面持ちで頷きながら、僕の申し出を断る素振りはない。ドキドキしすぎて心臓が痛い。手に汗が滲んで。カースの服の裾を握る力が強くなる。

    「……勉強熱心なのは良いことです。正直、私も人間のそういった行為は不馴れなもので力になれるか分かりませんが……それが貴方の願いなら、私は叶えてあげますよ」
    「……っ」




     この後実際アレコレするんですけど痛み止めとしてホープに塗った薬に媚薬効果が入ってててんやわんやしたり、二人の願いの奇跡によって結果的にホープがカースの子を授かったりするザックリとしたプロットが残ってた(供養)
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    pomi710

    DONEユキモモですが、人間ではありません、二人ともガチの犬、ですw大丈夫な方のみどうぞ…!どちらかというとイオリクな気もするw

    ペットショップパロ!
    紡視点です。
    「今回の子は元気一杯ですね!」
    私はペットショップアイナナ(都内チェーン店)のマネージャーを勤めています、紡と申します!本日は久々に新入りの子が来るとのことで、我が社の一番古くからある店舗に視察に来ています。今回の新入りさんは黒しばなのですが、通常より白毛がまばらに入っていてとても元気が良く人懐っこい子です。
    私はお店の子に家族ができるまで密かに心の中で名前を付けているのですが、この子はモモちゃんと呼ぶことにしました。

    「マネージャー、この子のゲージの準備が出来ていないのでしばらく相手をしていただいても良いですか?」

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    「いおりー!ごめん、水がこぼれちゃった!」
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