学パロ「エラー」
「…」
「聞いてんのか」
「ちょっ黙れ、逃げるかもしれないだろ」
さっきからエラーがずっと猫と戯れている。
暇だ。
どうしようもなく暇だ。
こうしている間にもどんどん時間は過ぎていく。エラーにとっては有意義な時間でも、俺にとっては無駄な時間以上の何物でもない。
…あ、そうだ。
ポケットからスマホを取り出す。音が聞こえないように鞄の中で録画を開始し、カメラをエラーの方へ向けた。
「…カワイッ…」
こうやって独り言を呟いている姿も全部録画しといて、後で見せながらからかってやろう。でも、それだけじゃない。気づかれたらきっと怒鳴ってくるだろうから、それを利用して猫を逃す。それが第二の狙いだ。
もう少しエラーに近づいてみる。それでも中々気付いてくれないから、軽く肩を叩いてやった。
「おい、何して…って、止めろ!!」
予想通りの反応が返ってきた。エラーがカメラを手で覆う。その間に猫はびっくりしたのか、近くの茂みの中へ消えていってしまった。
「猫、逃げちゃったな」
わざとらしくエラーが舌打ちをするのが聞こえた。思わず笑みが溢れてしまう。
「お前マジで趣味悪りぃよな…」
「褒めていただいて光栄だ」
エラーがはぁ、と大きなため息をつく。そして立ち上がると、歩き始めた。
「今日はオレの家泊まるんだっけ」
「あぁ。一旦荷物置いてから行くよ」
「分かった」
そのまま明日には忘れてしまうような、くだらない雑談をしながら道を歩いた。そういえば、こいつって接触恐怖症だったよな。いつも普通に触れてくるから忘れそうになる。本人曰く、別に接触にトラウマがあるわけでもないが、体が拒絶するらしい。最近は良くなっているが、前は握手もできなかったとか。今は俺を含む一部の奴とはそれなりに触れられるようだ。
「それじゃ、また後でな」
「ん。」
俺もエラーも、今はどちらも一人暮らしだ。だからよく互いの家に遊びにいったりしている。…しかし、少し気になる事がある。エラーは別にめちゃくちゃ忙しいわけでもないのに、あまり俺以外の奴を家に呼ばない。というか、行きたいと言うときっぱり断られる。多分、信用した奴だけしか家に上げないようにしているのだろう。でも、それだとおかしいのが、小筆…インクを当たり前のように家に上げている事だ。エラーはあいつの事が嫌いだ。少なくとも表面上では。それなのに…。
もしかしたら、エラーは本当は小筆のことを信用しているのかもしれない。あの態度も嘘で、本当は好意的に思っているのかもしれない。そう思うと、何故か不快になる。今までエラーは俺しか家に上げていなかったのに。俺だけを信用していたのに。一番最初にエラーと近い関係になったのは俺のはずだ。何故俺以外が必要なんだ。俺がエラーを一番理解しているはずなのに。
そんなことを考えていたら家に着いた。俺は鞄を置き、着替えを別の鞄に入れると、すぐに家を出た。
エラーの家は普通のアパートの一室だ。インターフォンを鳴らすと、すぐに出てきた。
本人が綺麗好きなのもあって、部屋はきちんと整理整頓されている。エラーは青い大きなビーズクッションの上で編み物をよくしている。そう。あの性格からは思えないが、エラーは意外と手先が器用なのだ。料理も上手いし、割と家庭的だ。
「ってかさ、今日もビーズクッションで寝なきゃダメなのか?それと何でオレは客人にベッド使わせてるんだ?」
「そうだが。あと、最後のに関してはお前の問題だ」
「あそこで寝るとたまに体痛くなんだよ」
「じゃあ添い寝するか?」
「嫌だ。狭い」
「そんな狭くないだろうが。言っとくが、俺は絶対にビーズクッションでは寝ないからな」
「何でだよ」
そんな口論を続けた末、結局添い寝することになった。エラーは不満そうだが、可愛いし無視しておいた。…可愛い?この生意気なチビが?…一旦置いておこう。
気持ち悪い感情を抱えながら、俺はエラーと雑談やゲームなどをして過ごした。思えば、エラーと過ごしているときにこう思う事は何度かあった気がする。いつも目を逸らしていたが…考えても無駄だな。
「先に風呂入るか?」
「お前が先でいいぞ」
「はーい」
「エラー」
「…」
「聞いてんのか」
「ちょっ黙れ、逃げるかもしれないだろ」
さっきからエラーがずっと猫と戯れている。
暇だ。
どうしようもなく暇だ。
こうしている間にもどんどん時間は過ぎていく。エラーにとっては有意義な時間でも、俺にとっては無駄な時間以上の何物でもない。
…あ、そうだ。
ポケットからスマホを取り出す。音が聞こえないように鞄の中で録画を開始し、カメラをエラーの方へ向けた。
「…カワイッ…」
こうやって独り言を呟いている姿も全部録画しといて、後で見せながらからかってやろう。でも、それだけじゃない。気づかれたらきっと怒鳴ってくるだろうから、それを利用して猫を逃す。それが第二の狙いだ。
もう少しエラーに近づいてみる。それでも中々気付いてくれないから、軽く肩を叩いてやった。
「おい、何して…って、止めろ!!」
予想通りの反応が返ってきた。エラーがカメラを手で覆う。その間に猫はびっくりしたのか、近くの茂みの中へ消えていってしまった。
「猫、逃げちゃったな」
わざとらしくエラーが舌打ちをするのが聞こえた。思わず笑みが溢れてしまう。
「お前マジで趣味悪りぃよな…」
「褒めていただいて光栄だ」
エラーがはぁ、と大きなため息をつく。そして立ち上がると、歩き始めた。
「今日はオレの家泊まるんだっけ」
「あぁ。一旦荷物置いてから行くよ」
「分かった」
そのまま明日には忘れてしまうような、くだらない雑談をしながら道を歩いた。そういえば、こいつって接触恐怖症だったよな。いつも普通に触れてくるから忘れそうになる。本人曰く、別に接触にトラウマがあるわけでもないが、体が拒絶するらしい。最近は良くなっているが、前は握手もできなかったとか。今は俺を含む一部の奴とはそれなりに触れられるようだ。
「それじゃ、また後でな」
「ん。」
俺もエラーも、今はどちらも一人暮らしだ。だからよく互いの家に遊びにいったりしている。…しかし、少し気になる事がある。エラーは別にめちゃくちゃ忙しいわけでもないのに、あまり俺以外の奴を家に呼ばない。というか、行きたいと言うときっぱり断られる。多分、信用した奴だけしか家に上げないようにしているのだろう。でも、それだとおかしいのが、小筆…インクを当たり前のように家に上げている事だ。エラーはあいつの事が嫌いだ。少なくとも表面上では。それなのに…。
もしかしたら、エラーは本当は小筆のことを信用しているのかもしれない。あの態度も嘘で、本当は好意的に思っているのかもしれない。そう思うと、何故か不快になる。今までエラーは俺しか家に上げていなかったのに。俺だけを信用していたのに。一番最初にエラーと近い関係になったのは俺のはずだ。何故俺以外が必要なんだ。俺がエラーを一番理解しているはずなのに。
そんなことを考えていたら家に着いた。俺は鞄を置き、着替えを別の鞄に入れると、すぐに家を出た。
エラーの家は普通のアパートの一室だ。インターフォンを鳴らすと、すぐに出てきた。
本人が綺麗好きなのもあって、部屋はきちんと整理整頓されている。エラーは青い大きなビーズクッションの上で編み物をよくしている。そう。あの性格からは思えないが、エラーは意外と手先が器用なのだ。料理も上手いし、割と家庭的だ。
「ってかさ、今日もビーズクッションで寝なきゃダメなのか?それと何でオレは客人にベッド使わせてるんだ?」
「そうだが。あと、最後のに関してはお前の問題だ」
「あそこで寝るとたまに体痛くなんだよ」
「じゃあ添い寝するか?」
「嫌だ。狭い」
「そんな狭くないだろうが。言っとくが、俺は絶対にビーズクッションでは寝ないからな」
「何でだよ」
そんな口論を続けた末、結局添い寝することになった。エラーは不満そうだが、可愛いし無視しておいた。…可愛い?この生意気なチビが?…一旦置いておこう。
気持ち悪い感情を抱えながら、俺はエラーと雑談やゲームなどをして過ごした。思えば、エラーと過ごしているときにこう思う事は何度かあった気がする。いつも目を逸らしていたが…考えても無駄だな。
「先に風呂入るか?」
「お前が先でいいぞ」
「はーい」
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