わたしのえ 真っ白い画用紙に、みっちりとたくさんの人が並ぶ。
だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
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