同棲してるっぽい社会人かおみさの話 風呂から上がったら、ソファに紙袋とバッグが投げ捨てられていた。紙袋の中を覗いてみれば、“寿”と書かれた箱。
寝室を探す。ベッドの上に、ドレスのまま寝っ転がるお姫様の姿があった。今日は大学時代の友人の結婚式に行くと言っていた。
結婚式に出席するのは初めてだと、緊張した面持ちで出掛けていったのは正午をとうに過ぎてからだった。
今はもうすっかり夜なので、結構長い時間行われていたらしい。
「美咲、」
呼んでみる。返事はない。くたびれてしまったのだろうか。先に着替えさせた方が良いだろうが、でも疲れているなら寝かせてあげたい。
「……薫さん」
そんなことを考えていたら、不意に名前を呼ばれた。どうやら起きていたらしい。
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