『可愛くもないし、君が好きな肉付きのいい柔らかさもない。優しくもなれない僕だけど、君を好きだと言っていい?』
千年と数日前によく見た、口元を隠す嫋やかな笑顔で宣う全部が俺に胸を掻きむしりたくなるほどの苦さを与えるなんて分かってねぇ女。
前世で一千年とんで数日追いかけた背
今世では十四年。
やっと俺の誠意(笑うなよ。間違いなく誠意だ)を分かったと思ったらそんなことを言う女。
転生して尚、変わらないその性根に(負けてやるもんか)と思ったのだ。そんな許可なんざなくても俺を好きなだけ好きだと言えるようにしてやる、なんて。
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仕事終わりの22時
目の前でソファにもたれかかりながらすぅすぅと寝る女。
しゅるり、とネクタイを外してながら寝てる女の肩に触れ軽く揺すりながら「ンなところで寝てんじゃねぇよ」といえば揺蕩う意識で「どーまん?」と俺の呼ぶから「おうよ、」と返せば「おかえり」なんてふわっふわの言葉で言う。
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