滲む赤色 指先が赤く濡れた。
本土から離れた離島に存在する五社学園では、勉学の他に「神殺し」が義務づけられている。簡単に言えば、神と呼ばれる人外のそれと、命のやり取りを行わなければならない。神は詠手と呼ばれる学生の血のみを喰らい、舞手と呼ばれる学生にしか倒すことはできない。詠手は舞手を補助することが可能で、契約を結ぶことにより舞手の治療・強化を行うことが出来る。
詠手は読んで字の如く、詩を詠むことで強化や防衛、補助を行うことが出来る。その力は想像力に左右される部分がある。
東雲篠は詠手だ。入学して一月も経たない、この戦場に駆り出されたばかりの、大人びた少女である。現在、困ったような顔をして、息を潜めている最中であった。
1859