汚れている僕らは、笑っていた汚れている僕らは、笑っていた
第1話 落ちてきた男
地下深くにある研究施設――通称「バンバン幼稚園」。
そのさらに奥深く、「王国」と呼ばれる隔離領域がある。
紫と緑の不気味な装飾に囲まれたそこには、“人ならざる者たち”が暮らしていた。
「……また、今日も不作ですかね」
王国の片隅。
ビターギグルは大きな試験管を覗き込みながら、肩をすくめていた。
左腕は人間のように動くが、右腕――蛇のようにうねる”ハングリースネーク”がピクリと動いた。
「笑わせるって、ホント難しいですね。相棒さんも今日は来てないし」
そう呟いたその時だった。
天井の非常口に設置された赤いランプが、唐突に点滅し始めた。
警報音も鳴らず、ただ淡く灯るだけ。
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