エセSFにありがちな脳をインターネットにアップロードできるようになった世界の話をなんとなく考える 今よりも科学が発展し、今よりも貧富の差が拡大した世界で、脳を電子世界へ移植する技術が開発された。数々のテストが行われ、ついにその技術の半永久的な存続が証明されると多くの富裕層たちは物理世界に別れを告げ、新たな世界へと旅立った。
死、苦痛、破壊、忘却、あらゆる負の側面をもつものが取り除かれたそこは人々にとってまさに楽園で、いつしかエレクトロニコ・パライソとよばれた。膨大なデータを貯蓄する物理的ストレージは、アンドロイドとごく少数の雇われた貧困層によってメンテナンスされていた。
物理世界の存在を忘れてしまうほどに時間がたったころ…楽園では全てが順調に進行していると思われたが、脳移植に”適合”する富裕層があらかた向こう側に行ってしまったあと、ある問題が発生する。
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