毎日SS8/4「あの監督の新作がサブスクに来たんだ、観よう」
「……あー、ね、そうらしいね、うん」
ノックの音と共に、モリヒトがコーヒーを持ってやってきた。
ヘッドフォンを外し、音楽を止める。モリヒトはテーブルの上に二人分のコーヒーを置き、勝手にテレビを点けた。
「配信されたの、二週間前だぞ。なんで黙ってたんだ」
「え、そんな前だったかなぁ、知らなかったよ、はは……」
テレビをインターネットに繋ぎ、慣れた手付きで画面を立ち上げる。
(ヤバい)
配信されることを知ったのは三週間前だ。
確かに、その監督の作品は毎回チェックしているが、今回は予告編を観た瞬間に悟ってしまった。
マイナーなB級映画は、ホラーが多い。ケイゴはホラーが苦手だ。スプラッタ系の映画は大丈夫だが、大きな音と映像で驚かすタイプのホラー映画は、どうしても観ることが出来ない。
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