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    こなもの。

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    こなもの。

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    支配者の矜持。(クロパパ)
    マスターさんのカッコイイ所が見たい!と書いたお話です。
    (※クリスマス2023の続き世界線。読んでなくても読めます)

    ##GHS
    ##文章
    ##クロパパ

    支配者の矜持。(クロパパ)──子ども達が寝静まる深夜。

    本日もホテル二階のバーにて。クロックマスターとミイラ父ちゃんはいつもの様に、晩酌を共にしていた。酒の肴は決まって、日々成長する子ども達の話題だったり、ホテルのゲストについてだったりする。…ただ今日という日は、二人はいつもと少し違う話題で盛り上がっていた。

    「この間のクリスマスは、楽しかったですなぁ……」
    「あぁ…アレは珍しく良かったな……」

    クロックマスターの持つロックグラスが、カラリと音を立てる。飲んでいるのはブランデーのロック。隣ではミイラ父ちゃんがうっとりと、シャンパングラスを傾けていた。程よく酔いが回り始めた二人は、先日あったホテルでのイベントに、想いを馳せていた。中庭で輝くクリスマスイルミネーションは、未だ二人の記憶の中で鮮明に瞬いている。

    「いやぁ、イベントは楽しいですなぁ……」
    「そうじゃなぁ……」

    ホテルに来る前は、さながら日本人と言ったところで。二人も例に漏れずクリスマス、お正月、節分、バレンタイン…と。月毎のイベントを何かにつけ、家族で楽しんでいた記憶があった。


    「──しかしここでは……誕生日なんかも祝えませんなぁ……」

    ミイラ父ちゃんの少し寂しそうな言葉に、クロックマスターは静かに振り向いた。クロックマスターと目が合って、ミイラ父ちゃんはグラスを傾ける動きを止める。

    「──いつなんだ……?」
    「……?あぁ、誕生日ですか……?」



    ワシなら……祝ってやれない事もない。

    そう、クロックマスターは酒に視線を戻して呟いた。時の支配者として…時間の事を忘れたことは一秒足りともないからな…と、クロックマスターは続ける。

    「……今日が何日かも、分かるんですか?」
    「あぁ……自分がホテルに来てどの位経ったか……秒数まで正確に分かる」

    それは……感心しましたなぁ~……。

    信じてないじゃろう…と、クロックマスターはジトっとした目でミイラ父ちゃんを見た。いえいえ、そんなことはありませんよ?と、ミイラ父ちゃんは手を左右に振ってみせる。

    「──11月1日ですなぁ」
    「……犬の日か」

    安直じゃなぁ……とクロックマスターが言うと、ミイラ父ちゃんは運命だったのかもしれませんな~と、朗らかに笑ってみせた。

    「マスターさんはいつなんですか?」
    「ワシか?ワシは……」

    クロックマスターは少し考えた後、ワシは6月10日で良い、と言った。

    「6月10日?」
    「時の記念日、じゃな……実際のは覚えとらんわ…」
    「それはそれは……マスターさんらしいですなぁ…」

    どういう意味じゃ…と言いながら、クロックマスターはニヤリと笑って、持っていた酒を飲み下した。


    ────


    「……楽しみにしてますよ」

    その後、バーでの晩酌をお開きにして、それぞれの自室に戻る別れ際。ミイラ父ちゃんはクロックマスターの背中に、そう呟いた。クロックマスターが振り返れば、静かに微笑んでいたミイラ父ちゃんと、視線が合う。

    ミイラ父ちゃんの言葉に、クロックマスターは分かった、と確かな返事をした。クロックマスターの中で正確に刻まれている時間感覚は、このホテルで狂うことが無かった。それが……その事実だけが。クロックマスターに、自身が“時の支配者”を名乗るに足る者だと、信じ込ませている──由縁であった。

    時の支配者の名に懸けて誓おう、と。クロックマスターは胸を張って答えたのだった。

    おわり
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    こなもの。

    DONE迷界リセット(🚖🎲)
    ※迷界のホテルが火事でリセット、ループする前提のタクルー文章です。
    (※何でもいい人向け)(※自宅設定強め)(※死描写あり)

    我が家のタクルーが仲良くなったキッカケ、かもしれないお話です。
    迷界リセット(🚖🎲)「タクシーさん、どこ行くの??」

    住人達が寝静まる深夜。ホテルの正面扉をソッと開けたタクシーに、後ろから声を掛けてきたのは、頭に大きなルーレット盤を乗せたルーレット小僧だった。
    急に声を掛けられ、タクシーは思わずドキリとしてしまう。別にやましいことをしている訳ではない。ただ、これから──。

    「……ちょっと、風に当たってくるだけですよ」

    ルーレット小僧の真ん丸の黒い瞳が、タクシーをジッと見据えていた。タクシーはその視線から逃れるように、扉の先へ一歩踏み出す。

    生暖かい風が好きだなんて、タクシーさんって変わってるね♪

    そう言いながら、ルーレット小僧はタクシーの足元をついてくる。おいおい、勘弁してくれよ…とタクシーが帽子を取って髪をかき上げると、それを見たルーレット小僧は、ちょっと悪い感じがして、そっちの方がモテそうじゃない?♪と言った。冗談はよしてくれ…と言う様に、タクシーは目深に帽子を被り直す。
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    recommended works

    Q781N

    DOODLE涙と約束(付き合ってるマオックス)
    マオの過去についての描写を含みます。
    「マオって、映画好き?」
    「そうでもない」

    やば。即答しちゃった。パッと笑ってみせていつものように「アレくんは?」と聞く。
    オレの様子に「?」を浮かべながらも、アレくんは柔らかく微笑んだ。

    「デートっていうと、遊園地とか美術館とか映画館とかが定番らしいから」

    一般的な話じゃなくてアレくんが好きなのかどうかを聞いたのに。…オレが取り繕ったから、好きかどうかを言えなかったのかな。

    「普通の恋人の真似事がしたいの?」

    そう意地悪に聞いてみる。

    「マオとなら、なんでもしてみたいよ」

    並んで座ったソファの上で、アレくんは愛おしそうにオレの髪を指で梳いていた。軽く頭を動かして指に擦り寄ると「猫みたいだね」と彼は笑う。
    前のオレなら、うやむやにして話を切り上げてたんだろうけど。今相手にしているのはどうでもいい有象無象なんかじゃない。この世界でただ一人、オレのことを知っていてほしいと願う相手だ。

    「ねえ、アレくん」
    「なに?マオ」

    君は本当にオレの名前を呼ぶのが好きだね。優しいこの声を聞いていると、楽しい話ばかりしていたい衝動に駆られる。けど、いつまでも先延ばしにしていたって仕方がな 3448