目を覚ますとすぐ近くに食事が置かれていた。粗末にするのは罪になるかも知れないと、焚き火の傍で眠っている少女と獣を視認してルイはそれを掻き込んだ。決して多くはないそれを平らげただけで吐き気が増したが、彼らの住処たる森を汚すのは憚られてぐっと堪えた。喉が焼けるような酸っぱい感覚がして、それが余計に気を落とさせた。
絶望に駆られ逃げ出した時分よりは、幾らか気持ちが落ち着いた気がしていた。衝動的に取った行動とはいえ、自分は王命に背き付き従うべき将校から逃亡した身になる。見つかればどうなるだろう。罰を与える代わりにと一度は罪を許された身分でありながら、また裏切りと同等の行いをしてしまった。今度こそ処刑されるだろうか。それならそれで致し方ないと思えたけれど、それがツカサの名に泥を塗ることになるなら容認出来なかった。
7786