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    ぱぴりす

    二次創作(腐.ブロマンス)置き場
    ※無断転載.自作発言.snsへのシェアは禁止です

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    ぱぴりす

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    三郎と獄の仲良くなるきっかけを妄想したものです。支部に投稿していたものを加筆修正しました(支部垢は退会済)。普通の友情もの。notカプ。

    #天国獄
    heavenlyHell
    #山田三郎
    yamadaSaburo
    #ヒプマイ
    hipmai
    #ブロマンス
    bromance

    神童は仲良くなりたい!※ARBイベストネタ有り
    ※アルバム(CROSS A LINE)のドラマパートネタ有り
    ※キャラ崩壊、捏造
    ※腐向けではありませんがそれっぽく見えるかもしれません

    何でもOKな方のみどうぞ↓↓↓






    「おう、兄貴と三郎も誘ってみるよ。またな」
     低脳の能天気で無駄に大きい声がキッチンにまで響き渡る…。
     今夜はいち兄がお仕事で帰れないので早めに寝ようと長めのお風呂で気分を落ち着かせたというのに、二郎の騒がしい声のせいで交感神経がまた優位になってしまった。
    「二郎、僕やいち兄の名前も聞こえたけど誰と話してたんだよ。そんな事よりお前まだ宿題終わってないだろ、後でいち兄にメールしておくからな」
     部屋に戻るついでにリビングのソファで横になってスマホを眺めていた二郎に声をかけると、うわっと声を上げて慌てて飛び起きた。
    「まてまて!宿題は今からやる!んでさ、ナゴヤの四十物十四と今度モンサブやろうって話してたんだ。あいつも追加パック買ったって」
    「ああ、そういえばお前らゲーム仲間だったな」
    「同じナゴヤの波羅夷空却もやってるみたいだし今度ブクロとナゴヤでオンライン勝負しようぜって計画してるんだ。だからお前も一緒に……」
    「天国獄もするのか⁉︎」
     二郎の話を遮るようについ言葉が出た。自分でも思う以上に高い声が出てしまい咄嗟に口元に手を当てる。
    「あまぐに……。ああナゴヤのおっさんか。どうだろゲームすんのかなー、十四に聞いてみようか?」
    「いや!いい!いい歳した大人がゲームしてるなんて引くし混ざってきたら何か嫌だなって思っただけだよ!」
     さっきからどうしたんだ、僕は。
     脊髄反射的に物を言い過ぎている。天国獄がいたら何なんだっていうんだよ。
    「そうか?シンジュクの伊奘冉やヨコハマの入間もこの間一緒にモンサブやったぞ」
    「へー、大のオトナがドン引きだな。僕は寝る前のルーティンに入るからもう部屋に行く。じゃあな」
     低能のポカンとした顔にイラつきながら僕は慌てて部屋に戻った。理由はわからないけど一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
     何故だか、胸と足元がソワソワとして落ち着かない──


     
    「天国獄、ゲームはやってないのかな……」
     これも何かの縁だから、と神宮寺寂雷の一言でシャッフルメンバーのトークグループを作ったものの、一言づつ簡単に挨拶をしただけでその後は誰もメッセージを投稿することはなかった。
    「いち兄はシャッフルメンバーと今も交流を続けているみたいだし、二郎も他ディビジョンの奴らと遊んでいるというのに」
     シャッフル当日から増える事のないトーク画面を見て大きなため息が出た。
    「僕が連絡をしないかぎり、このグループは一生機能する事はないんだろうな。あの面倒臭い大人たちがまた3人で会いませんかー、元気にしてますかー、ご飯でも行きませんかー、なんてするわけないだろうし」
     天国獄のアイコンをなんとなくタップするとプロフィール画面に愛車であろうハーレーが大きく映し出された。
    「あははっ。いかにもおじさんの趣味って感じだな」
     神宮寺さんはまだちょっと怖いけど、天国獄とならまた話してもいい……かな。そうは思う事はあるけどきっかけが何もない。特に用事があるわけでも相談したい悩みがあるわけでもない。あったとしてもわざわざあいつに話す意味がわからない。向こうも馬鹿じゃないし『どうして自分に?』と疑問に思うだろう。
     誰かと何かを話す時、こんなにも理由を探さないといけないものだっのかな。いち兄(ついでに二郎)と他愛のない会話をする時っていちいち何かを考えていたのかな。 
    「あーもう!どうして僕がこんな無意味な事考えなきゃいけないんだよ!だいたい何かあったらまた連絡するとか言ってたじゃないか。だったらお前の方からかけてこいよっ」
     スマホをベッドに叩きつけると同時にプルル……プルル……とわずかな電子音が耳に聞こえてきた。
     まさか…、と思って慌てて画面を見ると発信中の文字が表示されていた──
    「うそっ、通話押しちゃった」
     どうしよう?何か適当に話題とか考えないと。耳元にスマホを当てゆっくりと深呼吸をする。
    「いや、仕事中かもしれないし。出ない……よな」
     3コール聞いたのち、僕はため息をついてゆっくりと耳からスマホを離した。
     「山田三郎?どうした?」
     出た!?スマホから声が聞こえ慌ててスマホを耳に当て直した。
    「あ、天国っ、獄!?」
     まさか出るとは思っていなかったので声が上ずり喉が絞まるように言葉が詰まってしまう。
     なんで、なんで出るんだよ。こっちは心の準備なんて何も出来てないんだけど!!
    「ああ、元気にしていたか?」
    「え、あ。その……、うん」
     関係性の薄い人間からの急な電話に怪訝な対応をされると思っていたので、ごく普通のありふれたやりとりにひどく安心している自分がいる。
     しかしこの後の事は全くのノープランだ。とりあえずの用事も悩みも何も思いつかない。
    (そうだ、さっき二郎が言ってたモンサブ!このネタ使えるかもしれない)
    「どうした、ずいぶん大人しいじゃないか。もしかして間違い電話か?」
    「は?」
     向こうは揶揄うように笑っているがこっちは全然笑えない。いま僕がどんな気持ちで電話してるか知りもしないくせに……。
    「おーい獄ぁ!拙僧そろそろデザート食いてえんだけどー!」
    「獄さーん!自分の話まだ途中っすよー。それでですね、メンバーがですねっ!」
    「うるせえっ見てわかんねぇか電話中だ!デザートでもなんでも適当に頼んでろ」
     スマホの向こうでは会話に割っ入ってきたナゴヤのメンバー達がぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた。その騒がしい声を聞くたびに心臓がキュッと締まっていくような虚しさを感じ始める。
    「騒がしくてすまん。今メシ食いに来てて。ちょっと外に出るから折り返し……」
    「いいよ、もう。ああ、そーだよ間違い電話だよ。お前の名前があ行の一番上にあったから間違えて押しちゃったんだよ!ほんと迷惑な話だよ、じゃあな!」
    「あ、おい……」
     通話終了ボタンを押しベッドにどさっと突っ伏す。
    (なんだよ、せっかく電話してやったのに。間違い電話扱いはされるし僕を放ったらかして向こうだけで仲良く喋ってるし)
     イライラがおさまらない。相手にもだけど、もっと上手に話ができなかった自分自身にも腹が立つ。
    ──元気にしていたか?
     普通に気にかけてくれた事がちょっと嬉しかった。こういう何気ない会話が最初からもっとできればよかったのにと後悔で目が熱くなる。
    「何であんな言い方しちゃったんだろ。僕はただ……、いち兄や二郎みたいに……」
     握りしめたスマホから振動が伝わってくる。
     ホーム画面には天国獄からの着信通知が表示されていた。胸に手を当て大きく息を吐いてから僕は通話に応じた。
    「……なんだよ」
    「いや、さっきは悪かったな」
    「はあ?間違い電話だって言っただろ」
     さっき後悔したばかりなのに憎まれ口を叩く事しかできない自分に再びイライラが募っていく。
    「まあまあ、少しだけ俺の休憩に付き合ってくれよ」
     ふう…と長く大きく息を吐く音がする。さっきと打って変わって周りの騒音が聞こえず随分と静かだ。外でタバコでも吸っているのだろう。会話に少し間が空いた事で僕の頭も憎まれ口をこれ以上吐くことはなく、少しだけ落ち着きを取り戻した。
    「メンバー放っておいていいの?」
    「ああ。あいつらはデザート食ってる、しばらくは大人しいはずだ」
    「お前は食べなくていいのか?」
    「俺にとってはタバコが1番のデザートなんだよ」
    「体に悪いから程々にしときなよ、まだ糖分の方が体にいいよ」
    「ははっ、違いねえな」
     柔らかな声が電話越しにストンと胸に落ち、さっきまでざわついていた気持ちが不思議と消えていくのを感じた。
     静かな会話がなんだか悪くない。自然と口元の緊張がなくなっていくのがわかる……。
    「そういえば、さっきうちの十四がお前のとこの次男に連絡していたな」
    「ああ、ブクロとナゴヤでモンサブをする約束してたみたい」
    「へえ……、お前も参加するのか?」
    「そうだね、ゲーム好きだし。誰が最強かってのをあいつらに教えてあげないといけないからな。……なあ、天国獄もモンサブするのか?」
     大きく煙を吐き出してうーんと唸る声が聞こえる。
     やはりゲームはしないのかな……。弛緩したはずの顔の筋肉に再び緊張が走る。僕は静かに天国獄の返答を待った。
    「十四に無理やり買わされてたまに一緒にやる程度だな。ただあの手のゲームってトライ&エラーの繰り返しでやり込んだ時間の分だけ上手くなるだろ。ゲーム自体はよく出来てて面白いが暇なガキどもよりなかなか強くなれねえのがちょっと腹立つな」
    「そうか!するんだな!」
    「だからするって言ってもお前らガキどもと違って時間が取れねぇんだって」
    「プレイ時間なんて関係ないよ!敵の攻撃は所詮プログラムなんだしパターンを見抜いていかに効率よく倒すか考えれば大丈夫」
    「そんなものなのか?」
    「うん!……良かったら、攻略法、とか…教えてやってもいいけど」
    「へー、そりゃ助かるな。とりあえず空却に揶揄われない程度に強くなりてえからな」
     ゲームに前向きな天国獄の言葉が嬉しくなる。
     子どもみたいに浮かれてる自分に若干の恥ずかしさを感じるし、たぶん後で調子に乗って喋りすぎたと後悔するかもしれない。でも今の僕にはそんな事どうでも良かった。
     もっと、こいつとゲームの話がしたいっ。
    「そんな小さな目標じゃつまらないよ。僕が教えてやるからには最強のハンターに育ててやる。ありがたく思えよ。使ってる武器あったら教えて、指南動画作ってやるから」
    「ったく、相変わらず偉そうなガキだな。気になる武器が何個かあるから後でメッセージ送る」
     僕の頭の中ではすで動画作りのシミュレーションが始まっていた。初心者にわかりやすく説明するにはどのモンスター相手がいいんだろうか……、ああ早く作業に取り掛かりたい。そして早く一緒にプレイしたい。先の事をあれこれと考えるうちに自然と笑みがこぼれていた。
    「今度のブクロナゴヤの狩り会、お前も絶対に参加しろよ」
    「だから、俺はお前らガキどもと違って暇じゃねえんだよ。仕事もあるからまだ参加できるかどうかもわからんぞ」
    「そんなの今の時代オンラインでどこからでもゲームできるんだし事務所や出先からすればいいだろ?」
    「なんで俺が出先であのダサいヘッドギア被らなきゃならねえんだよ……」
    「師匠命令だ、オンラインの日は絶対に空けておけ」
    「何だよ師匠って」
    「何ってモンサブのだよ。【闇を纏いし漆黒の救世主】といったら界隈では結構有名なんだからな」
    「はいはい、善処しとくよ師匠。……あー、俺はそろそろ店に戻るけど。大丈夫か?」
    「何が?」
    「いや、いい。じゃあまたな」
    「ああ、メッセージ忘れずに送れよな」
    ──プツッ
    「やった……。あ、あはは。何だ。簡単な事だったんじゃないか。僕は何を沈んだり浮かれたり馬鹿みたいな事していたんだろ」
     通話終了画面が消えて、スマホにはまたハーレーのプロフィール画面が映し出された。
    「バイクって構造を見るのは好きだけど、乗るのも面白いのかな……。今度聞いてみよう」

      
     同じ頃──、通話の切れたスマホを胸ポケットへ入れ、獄は再びタバコに火をつけ安堵に胸を撫で下ろすようにゆっくりと煙を吐き出した。
    「……何か悩みがありそうな感じだったが、大丈夫そうだな」
     そう独りごちると、フィルター部分のほとんどを残したタバコの火を消した。


    「あ、早速メッセージがきた!……ふんっ、まったくあいつも堪え性のないやつだな」 
     作業を一旦置いて僕は急いでメッセージを確認する。楽しみにしていたわけじゃない、これも大事な攻略指南動画作りのためだから!
    ──お前もゲームをやるって話をうちのガキどもにしたら絶対に負けねぇぞ!との事だ。やるからには俺も手加減はしねえ。覚悟しとけよ。
    「ふんっ、ゲームでもブクロが最強だって事をお前たちに証明してやる!だからお前にもライバルとしてもっと強くなってもらわないと」
     これを機に天国獄とはゲーム以外の事でもメッセージのやり取りをする事が増えた。
     なんでもない一言にも、暇つぶしに送った給食の画像にも律儀に返事を返してくれるのが面白くてだんだんとメッセージを送るのが日課になっていった。
    「ほんと、変なおっさん……」
     今日は何と言ってからかってやろうか。このささやかな楽しみが少しでも長く続けばいいのに、賑やかになってきたトーク履歴画面を見ながら僕は静かに笑っていた。
     
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