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    274(になし)

    274(になし)。原神の魈×蠱毒(オリキャラ)を載せます。空受け。他のカプも描くので地雷は自衛して下さい。えちちは気が向いたら量産されます。pixiv⇒https://www.pixiv.net/users/117406886

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    274(になし)

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    pixivのショ×蠱毒小説1話目。
    原作知らなくてもまあ雰囲気で読めると思う。

    ※魈は原神キャラ。蠱毒はオリキャラ。
    2次創作大好きな人が書いてます。

    #gnsn夢
    #BLD
    #オリキャラ注意
    orientedCharacterAttention
    #魈

    友人との関係を考える。「空」

    穏やかな日差しさす昼下がり。
    璃月港の特産品コーナーで色とりどりのお土産を見ていた空は、思いがけない声に振り向くこととなった。

    「魈!」

    見覚えのある端正な顔が見えると、空は嬉しくなって声の主の名を呼んだ。その声に気付いたパイモンも、小走りで走り寄る空の後に続く。

    「魈!久し振りだな!お前がこんな街中にくるなんて、なにかあったのか?騒がしい所は苦手なんじゃなかったのか?」

    ふわふわと空のまわりを飛びながら、魈に向かって話しかける。するとパイモンはあることに気がついた。

    「ん?」

    魈の少し後ろに目をやれば小柄な人物がいるではないか。
    それに気づくと、パイモンの可愛らしい少女の顔が瞬く間に真剣な面持ちになる。
    そのまま、スス〜。と空のところまで下がると慌てて空の後ろに隠れながら、

    「魈、お前!友達と一緒なのか? 珍しいな。それとも鍾離の友達の案内か?」

    魈の顔が思案するような顔で固まった。鍾離=帝君と繋がるまでの時間がかかったようだ。

    「いや、て、⋯っ鍾離殿の客ではなく…、これは…、その我の友人、…だ」

    「お前、友達がいたのかよ!!」

    盛大なパイモンのツッコミに、ギロッと魈が睨んだ。
    あまりに突き刺すような視線だったので、パイモンがプルプル震えながら空の後ろに隠れて魈の殺気をやり過ごす。

    魈の後ろにいるのは、大きな綿菓子を持った小柄な人物だ。その顔は、残念なことに顔より大きな綿菓子で隠れて今は見ることが出来ない。

    「パイモン⋯そんな失礼なこと言っちゃダメでしょ。はぁ、ごめんね、…魈。」

    深いため息を付くと、空はパイモンに変わって魈に謝罪した。魈との付き合いは長いが、自分とはそこまで砕けて話せる仲ではない。
    空は、後でパイモンのヘソクリからチ虎魚焼きでも奢ってもらおうと心に刻むのだった。

    そのとき、魈の後ろにいた綿菓子から声がした。頬張っていた大きな綿菓子を顔の前から横にずらして、眠たげな声が空を呼ぶ。

    「んん…?その声、空と白いの…か?」

    「あれ。もしかしてそののんびりした声って、蠱毒?!」

    「「久し振り!」「ぉおー!久し振りじゃねえか!」」


    まだ幼さが残る少年の達の、明るい声が璃月港に嬉しそうにはずんだ。
    空と蠱毒がハイタッチをしながら、手を取り合ってお互いの再会を喜ぶ隣で、近年稀に見るほどポカンとした顔の魈が居た。



    ____________________
    酒は呑んだら飲んだ分だけ寝るに限る





    久々に会ったことだし昼餉でも。と言う提案が腹ペコのパイモンからあがり、空は魈達を璃月港からほど近い万民堂に誘った。
    それぞれに料理が出され一通り腹を満たす時間がやってくる。空とパイモンはお互いに顔を見合わせると、珍しく魈が日中の賑やかな璃月に蠱毒と共に来ていた理由を聞いてみた。

    「我は、…共に璃月に付いてきてくれと、蠱毒に頼まれただけだが…」

    「そっか〜!保護とか確保とかじゃなくて、璃月の観光だったんだね。あ〜、良かった〜!」

    ほぅ。と胸を撫で下ろして空は安堵の息をはいた。その理由が解らない魈は、眉間にシワを寄せる。

    「すまぬが、なぜ。蠱毒を保護していると思ったんだ?」

    「うーん。それはね〜」

    空は数週間前、初めて蠱毒と出会った事を懐かしそうに魈に話し始めた。
    その日は天候が悪かったが、冒険者協会からの依頼を片付けて報告に向う為に璃月へと向かっていた処だった。

    南天門から天穹の谷を抜ける川岸に、岩に項垂れる形でうずくまる人影が目に入ったので、慌てて駆け寄ると意識を失った蠱毒が倒れていたのだとか。パイモンと一緒に生きているのかを確認して、すぐ近くにある安全な廃屋まで運びこんだ。そのまま雷雨になったのもあり、雨宿りがてら蠱毒が目覚めるまで2人で待っていたそうだ。

    目覚めた蠱毒は寝ぼけながら「なんだぁ?魈、また運んでくれたのか?」と言ったことから、行き倒れの人間ではなくて、魈の知り合いの仙人だと確信して色々と話をしたことがきっかけなのだと、ニコニコしながら話してくれたのだった。

    そこまで聞いた魈の顔が、一瞬にして表情が抜け落ちたのを見てしまった空はひやりとした。たぶんこれ激怒ってやつかな?と内心冷や汗をかくが、魈の横にい座っている蠱毒は我関せずの顔である。
    空の奢りとばかりに、追加注文で頼んだタピオカドリンクをパイモンと仲良く並んで頬張るその顔は⋯、とても幸せそうであった。


    「少し人の群れから離れるか」

    ごほん、と咳払いをして魈が先に席を立つ。大衆の面前もあるのだろうが、紙一重で怒りを抑えたようだった。それから、美味しそうにタピオカドリンクを飲んでいる蠱毒に手を差し伸べる。差し伸べられた魈の手に気づくと、やんわりその手を握り返して蠱毒が席を立った。

    ─ギギっと音を立てて蠱毒の義足が軋む音がする。

    そう言えば蠱毒は右手と両足が義手と義足だった事を空は思い出す。前に出会ったときより幾分か義足が錆びていて古い気がするのが気になって、蠱毒に聞いてみた。

    「ん?俺の脚か。魈に頼んで朝方に璃月に来たら閑雲に見つかってな。なんか新しいオートメーション機能?だか可動区域がどうのとか、急に名案が浮かんだとか言われて。その場で全部剥ぎ取られちまったんだわ⋯」

    新しいのが出来るまでの間は、しまい込んでいた旧いものを(お前なら何とか使えるだろう)、と渡され致し方なく着けているのだそうだ。なので立ち座りから歩くまでが安定せず、魈に手伝って貰っているのだと教えてくれた。

    「そっか。魈がいつもより優しかったのは、蠱毒を気遣ってたからなんだね」

    ニコニコと蠱毒と並んで話す空には、手前を歩く魈の顔は見えないが、何だかんだ言いながらも仲間に対する優しい所がある。やっぱり魈だな、と心が暖かくなった。




    ____________________
    不敬極まりない行動に粛清を


    そんな和やかな時間は今より約30分前に終わりを迎えていた。
    ことの発端は蠱毒の発言なのだが、さすがの空もそれは魈の逆鱗にふれるよね。と言わざる終えない内容ではあった。
    魈の逆鱗といえば岩王帝君=鍾離先生に関わることなのはお察しである。

    空は、今日はやることも無いし偶には友達同士で楽しむのもいいもんだ。と早々に気持ちを切り替え、眼の前の光景を日当たりの良い岩陰で見守っていた。

    いま空達がいる場所は、望舒旅館の近くにある川辺であった。サラサラと流れる川の水が太陽の光に反射してとてもキレイだな。そんな事を思いつつ、空は眼の前で繰り広げられる戦争も真っ青なのでは無いかと思う 夜叉VS仙人のほぼ魈の一方的な槍術戦を見ることになっていた。

    「目障りだ、消し炭にしてやる!!」

    「っだぁ!!って、まて!俺が何をしたっていうんだ!?」

    「問答無用!」

    ガガガッ!!!
    幾本もの槍が地面に突き刺さると、飛翔した魈の仙術が休むまもなく繰り出される。

    「跡形もなく消えろ!!靖妖儺舞!!」

    「!?⋯ひえっ!!」

    魈の武器が、蠱毒に真っ直ぐに狙いを定める。
    ギリギリで後方に飛び退いた蠱毒の鉄扇に和璞鳶が掠り、激しい火花を散らした。





    では、30分前になにが起こったのか。
    空とパイモンは、のんびり話し始めた蠱毒の話に耳を傾けたのだが⋯。話が進むに連れ、次第に空は頭を抱えて眉間を押さえ、パイモンは険悪な雰囲気を察したのか、話の途中に無言で一足先に望舒旅館へ飛んでいってしまっていた。
    魈は黙ったまま、眉間にシワを寄せて怒っているのがよく分かる。


    「んでなぁ、俺に酒を勧めてくるもんだからウェンティと飲み比べをしてたんだが途中で記憶が無くなっちまって。どっかの道端で寝たのは、何となく覚えてんだけど。朝起きたらなんでか、帝君の部屋でなぁ…」

    などと言う辺りで、魈のこめかみ辺りに青筋が浮いているのを横目で見てしまった空は、内心穏やかでは無かった。魈の帝君リスペクトは空から見てもよく分かる。

    尊崇そんすう(神仏や偉大なものを心から崇び敬う意味)や敬虔けいけんに近しいものであるのかとも思うが魈自身に言えば「その様な簡単な言葉で表すなど不敬!」とばかりに、己の首が飛びかねない。

    いくら魈とは仲が良くとも、言ってはならない事だと理解しているので黙ってはいるが⋯。蠱毒はそれを気にする風もない。
    ツラツラと鍾離に対して不敬と思わしき言葉を平然と並べるものだから、空の心境としては、(他人事なので、話が面白くなってきました!)なのだが面倒な事は間違いない。
    なので、巻き込まれないように手前をあるく魈と蠱毒の少〜し後ろを、気づかれないように距離をおいて歩くことにした。


    「……それは、初耳なのだが?」
    「ん?そうだっけ。帝君から聞いてねえの?」
    「ない」

    そっか。と続けると、蠱毒はその後も淡々としゃべり続ける。

    「流石にびっくりしたから、謝って部屋を出ようとしたら帝君が二日酔いに効くからってお茶を入れてくれたんだ。んで渋い茶を飲みながら話を聞いてたらな?
    どうやらそん時は、俺は道端で寝てるところを宝盗団にお持ち帰られてて好きなようにされそうになってたらしい。」

    「⋯」

    「え。」

    旧友蠱毒のアッサリとした爆弾発言に、流石の魈も顔色が真っ青になっていた。ピタリと立ち止まって早々に俯いてしまうと顔に手を当てる。腹の底から重苦しく怒りを押し殺す溜息が聞こえてきたのを、空は内心複雑な気持ちで見てしまった。

    自分の古き友が酒に酔って道端で寝てしまった挙句、知らない男達に気を失ったまま嬲られる姿といったら絶句というか絶望と言うか、なんというか⋯言葉にも態度にも形容しがたいものがある。
    何となく気付いてたけど、魈って面倒見がいいうえに気苦労症だよな。まぁ、他人事だからな。なんて思いながら、空はそんなことをぼんやり考えた。

    「あ、いや、何事もなかったんだ。まじ、うん。まじ。そん時も偶々、帝君が見つけて往生堂に連れて帰ってくれたんだそうだ」

    その後の事は簡単で、客を紹介したいと帝君に呼ばれた堂主がやってきたのだが、丁度服を来ている最中だったものだから誤解をされ、その誤解をといたらといたで大爆笑され。
    挙げ句に女顔だからと化粧をほどこされ、面白いからと鍾離がそれに乗り抵当な服を持ってきて着せられ、逃げるように魈のいる所に向かったのが先日の事なのだと語ってくれた。

    鍾離に拾われたのはこの一度きりではなく、この数百年間で何度もあったことであり、そのたびに鍾離が手を差し伸べ「節度をもって酒を飲むように」と諭されたが、酒癖だけは治ることがなく続いていたこと。

    ついでにいえば、蠱毒が酒を呑んで道で落ちていたら、往生堂の前まで連れてくるように。と、鍾離と空とで継続的な契約をしているとも空本人から聞いたことで、
    ついに我慢強い魈の堪忍袋の尾が限界を突破してはち切れる
    引き金になったのは言うまでもない。





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