小学生の病弱吾郎くんと蓮くんが出会う話╴side吾郎╴雨宮蓮と名乗った彼は、この家の近所にあるらしい小学校に通っている。もう学校に通っていた時間より家で過ごしている時間の方が長くなってしまっているから学年の概念というものを忘れていたけど、彼は一つ下だから三年生にあたるらしい。普通に通っていれば僕は今頃四年生だったはずだから。
『僕と話してみたいから』。そんな理由で傷だらけになってまで来てくれて、そしてまた来てくれると約束してくれた。
次の日も、その次の日も。蓮は黒いランドセルを背負ったまま、器用に木を登って僕のもとに来てくれた。
吾郎は本読むの好きなのか?
うーん。好きっていうか、本を読むくらいしかやることが無いだけだよ
じゃああんまり好きじゃない?
読むのは嫌いじゃないからどちらかと言えば好きではあるのかも
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