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    ひれなん

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    ひれなん

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    8月31日 COMIC CITY VEGA2025
    一縷の星芒
    穴のない底/東4ウ48b

    むーさん(ミドリ/ウ48a/X:mdr_bnk)との合同誌です。
    最高素敵表紙とめちゃ可愛オバヨ漫画と美麗ホラーを描いてくださいました!
    こちら、ひれなん小説部分のサンプルです。
    ※イベント終了後全文ここに掲載します。
    (オバ、フベラ、ヨ+ドゥラ)
    A5/48ページ/全年齢/小説と漫画と対談/300円

    合同誌※サンプル※〇オクバデ(ギャグ)
    ~前略~
    昼を少し回ったところでオクジーは一度穴を出る。地中の岩盤質が変わり、蒸し暑い層に入ってしまったがため、今日のような暑い日は体に堪える。流れ出る汗を布で拭ったオクジーは木陰に置いた羊皮の水筒を取りに向かった。今日は特に暑い。ふと視線を納屋へと向ける。一応日陰ではあるが、閉め切ればそれなりに暑い。しっかりしているようで、自分のことにはとんと無頓着な彼を思い出す。水を差しいれがてら、暑さでバデーニが倒れていないか、様子をうかがってみるのもいいかもしれない、と足を向けた。
    途中冷たい水を井戸から汲んで水筒に足してから、彼の研究室の戸を叩く。
    「バデーニさん、オクジーです。失礼します」
    声をかけると中から「あぁ」と返事が返ってくる。思っていたよりも落ち着いた声にオクジーは少し驚く。昨日はノックをする前から椅子をガタガタさせる音が聞こえ、声をかければすかさず「あ゙ぁ?」という機嫌の悪い返事が聞こえてきたのだが。
    「なんだ、何か用か?」
    扉を開けると、机に向かいこちらを一瞥もせずバデーニが返事をする。
    やはり今日は機嫌がいいな、とオクジーは思う。いつもなら「なんだ」の一言だったり、昨日のように機嫌が悪いと「何しに来た」と端から追い返す言葉が出てくるハズだ。だがしかし機嫌が良いのはいいことだ。  
    論文がはかどっているのだろう、そうオクジーは自分に言い聞かせて納屋の中に入る。やはり日陰は外に比べれば幾分か涼しい。とはいえ、昼下がりの室内は暑い。
    「今日は暑いので、もしよければバデーニさんも、水でもどうかと思って」
    「ほぉ、気が利くな。もらっておこう」
    やはりオクジーの方を見ようともしないが、声が柔らかい。機嫌がいいのはいいことだが、オクジーは何か違和感を覚える。
    ひどく冷静だ。
    何かを隠しているような、そんな予感にオクジーは椅子に座る背を見た。
    ~略~

    〇フベラファ(フベ(→)←ラファ/伊〇丹の時計のアレ/ちょっとシリアス)
    ~略~
    待ち合わせ場所に向かうとフベルトさんはすでにそこにいた。日時計のグノモンに使うのだろう、いつも持っているものよりもかなり長い杖を手に、ローブ姿で日向に立っていた。
    「お待たせしました!」
     僕の声に振り向いたフベルトさんは無言で頷くとおもむろに杖で地面を指した。そこには珍しい青い石が七つ置かれていた。
    「これを使え」
    「先に集めてくれたんですか。ありがとうございます」
     目印の石を既に集めてくれていたとは。体が不自由なのに気を使わせてしまった。ここは身軽に動ける僕の仕事だったのに。しかしこんな綺麗な石、どこで拾ってきたんだろう。
    「さっさと始めよう。夏とはいえ日が傾く」
     地球は絶え間なく動いているから。
     目を細めて夏の青空を見上げるフベルトさんの言葉にはそんな意味が込められている気がした。
    ~略~

    〇ヨレ+ドゥラ(ちょっとシリアス)
    私には何も分からない、とヨレンタさんは寂しそうに目を伏せて朝の太陽に照らされ温度の上がる地面を見つめながら、ぽつりぽつりと独り言のように言葉を紡いだ。
    「私は何も知らない。これが何なのか、何故私の手の中では冷たくならないのか。同じように会話を交わしたにも関わらず、私は彼らのことも何も知らなかった。そして彼らも何も『形』を遺さなかった。正しくは遺せなかったのかも知れないけど。貴女が焼いた本以外はね」
    「……っ」
    最後にちらっと視線を上げて私の方を伺い見る。というか、このタイミングでそういうこと言う⁉謝った方がいいのだろうが、とっさに謝罪の言葉すら出てこないほどに私は動揺していた。何らかの言葉を口に出すタイミングを失い、ただ視線をうろうろさせる私を見てヨレンタさんはふふ、と息だけで笑うと「中身は貴女が伝えてくれたから、ちゃんと残ったわ」と言った。分かっていたけど、こういうこと言うんだこの人は。ずっと年上なのに、壮絶な生き方をしてきたのに、ふとした時に見せるお茶目な笑顔につい親近感を覚えてしまう。
    「それに形ある物はいつか壊れるし、失う。物質そのものに感情を預けられるほど、私はもう若くないもの」
    「物質に感情を預ける?」
    「そう、貴女にとってのお金のようにね」
    「っ」
    ぐっ、と腰に持った袋を握りしめる。感情なんかじゃない。これは私の生き方だ。生きるために必要な信念だ。
    ……信念は、感情なのだろうか。ふと思う。
    そんな私を見たヨレンタさんは再び環を指でなぞり、ゆっくりとした声で話し始めた。
    「これは神様がくださったものなんですって」
    「へぇ」
    神様の存在を信じていない私はとりあえず適当に相槌を打っておいた。
    ~略~

    ※3つとも同じテーマの話です。
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