何か2触れたなら、触れてしまえば、その先は自然と。
つないだ手を繰り寄せて。
まだ朝は来ない、眠っていたい。でも誰かが体を揺するの。誰かなんて分かりきっているけど。
「…どーした」
瞼をわずかに開けそう問えば、
「なんでもねえ」
と身を寄せる。
言って、知りたい。
怖い夢でも見たのか、とか。
悲しいことがあったのか、とか。
共有したい、お前が感じたものを。
教えて。
指を絡めて熱を伝え合う。
琥珀の瞳を覗き込む。
透き通ったその目は何を見て何を感じて何を想って…
それが全てオレならば嬉しい。
視線はオレのものだけど、お前は余所見をするから。
バスケでは魅せるけれど気が気じゃない。
それ以外も欲しい。
一組の寝具で共に寝るのももう慣れた、なんて思わない。
いつも心臓が高鳴っている。
オレは首に出やすいから毎回赤くなっていることだろう。
オレに向く寝息と寝顔のその手前、天井を向いた掌に何となく手を重ねれば温かく、
きゅっと握れば握り返した。
抱きしめたらどんな反応をするだろう。
これ以上触れてもいいか?
問いかけたかった。