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ハア、ハアと言いながら、セルジュは緑色の顔をしてベッドに転がった。毒状態だった。戦闘中にモンスターが吐き出した毒霧を吸ったのだ。今日の毒は腹にくるヤツだった。下腹部がずっと殴られたみたいに痛むし、常に喉まで迫る嘔吐感がある。
キッドは毒を喰らったセルジュを案じてすぐさま宿屋に戻り、すっかり伸びきったセルジュを一人部屋にぶちこんで「ゆっくりおやすみ!」とニッコリ笑ってドアを閉めた。盗賊団はいつも資金不足なので、万能薬を買い溜める余裕はない。なのでセルジュが状態異常に陥ると、とにかく治るか死ぬかするまで放置するのだ。今日は宿屋が近くにあったからマシなほう。酷いときは動けるようになるまで道路やら泥沼の底やらに転がされていた。
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