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    ユキお

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    ユキお

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    ハナユハのマフィア現パロです。

    初めて小説を書きました。もともと頭が悪いので小説というより、いつものハナユハ妄想のネタをちょっと長く書いただけのものです。本当に文がおかしいので話の大筋だけ、何となく言いたいことだけでも伝わったら嬉しいです。誤字脱字あると思います、お目汚し失礼いたします。

    「カワカミ・ハナマル?」
    「そいつを殺せとのご命令だそうです」

    中国の裏社会を支配するサルディス家、直属のマフィア。国から表ではできない「仕事」を与えられ活動している。いくつかの国に広がっているが、その中でも私は日本の支部に所属していた。
    命令を伝えた男の身長は2mは超えているし体格もユーハンの2倍くらいはあるだろう。他の構成員だって同じようなものでそれに比べて170cmを超えているユーハンでもこの中では目立つほど小さく、線の細い体は消えてしまいそうだった。しかし、この日本支部の副リーダーはユーハンであった。下がっていいですよ。と伝えるとその男は深く頭を下げてそのまま部屋を出ていった。

    渡された資料に目を通すと、ある程度の情報と顔写真がクリップでまとめられていた。
    カワカミ・ハナマル、男、36歳、身長180cm、職業は小学校教諭…
    他の情報をみても、彼は一般人にしか見えない。公務員をしているこの筋の者は珍しい、というか活動が難しい。そしてこの任務をユーハンに任せるほどの人物。よく分からない変な人だ。しかしへらりと笑った底の見えない笑顔はこちら側の人間では見慣れた顔だった。

    ユーハンはマフィアという暴力の組織の中でも無駄な殺生や暴行などをしない人物だった。もちろんサルディス家の当主はそれを良いとは思わない人であったが、ユーハンは特別優秀な部下だったのでそれを許していた。そんな性格のせいかユーハンを慕うものも多く、反逆や裏切りも少なかった。

    教員という表の人間と関わる仕事をしている彼を殺せば周囲の影響も大きい。しかもこの情報をみても彼を殺さなければならない理由は記されていない。
    慎重な性格のユーハンは改めて上の者に確認を取ることにした。そしてその連絡を取ったのがたまたま日本に来ていた、当主であるサルディス・フブキだった。

    「やはり聞いてきたか」
    分かっていたよというため息が聞こえる。
    フブキはこの優秀な部下を可愛がっていたが、こういうところは気に入っていなかった。
    「わざわざ足を運んでいただきありがとうございます」
    「何も考えず任務を果たせば良いものを」
    「申し訳ありませんフブキ様、しかし私に任務を任せた理由をお尋ねしたく」
    やれやれ、という感じでフブキ様は話してくださった。10年ほど前、ある子供がうちの組織の者とぶつかった。彼はその子供を撃ち殺した。
    そして、その日のうちに子供の保護者であったハナマルが一人で乗り込むと、そのグループを半壊滅状態にしたらしい。全員死にはしなかったものの再起不能にされたものも多かった。
    「そんな話、私は聞いたことがありませんが…」
    「うちの組織が1人の男に負けたんだ、流れれば弱みになる」
    ぶつかっただけの子供を撃ち殺すなどどれだけ短略思考なのだ。私はハナマルに同情した。
    「しかし今になって殺さなければならないのは何故ですか」
    「そいつの居場所を突き止めた。うまく隠れていたようだが10年経って隙ができたようだな」
    災いの芽は摘まなければ。そう言って息が漏れるような笑い声が聞こえる。
    「同情して殺したくなくなったか?」
    「…彼の子供を我々は殺したのです。最初にふっかけたのはこちらではないかと思ってしまって」

    音もなくフブキ様は立ち上がると場の空気が一気に凍った。大きな影が私にかかり立ち止まる。顔には出さないが、私の手足は細かく震えていた。
    髪を掴まれフブキ様の顔前に持っていかれる。
    「私の命令に逆らうのか」
    赤い目が私を貫く。
    「逆らったらどうなるか分かっているよな」
    私の脳裏に家族の顔が浮かぶ。私だけでなく、家族も人質になってしまった。
    本当はこんな仕事やりたくなかった。最初は表の公務に勤めていたのに、フブキ様から直接の命令で裏側の仕事をすることになった。なにかあれば私だけで済む。そう仕事を請け負った自分が馬鹿だった。裏社会は思っていた以上に残酷な世界だった。
    「おい、答えろ」
    髪をギュッと強く掴まれる。痛みと家族を失う恐怖に顔が引き攣る。カラカラになった喉から声を出した。
    「承知いたしました、フブキ様」



    ハナマルの住む街まで車を走らせる。しばらくは彼の行動を観察し任務を遂行するタイミングや殺し方をよく考えよう。
    シャッターの降りた店が多い商店街を歩いているとターゲットが三人の子供に囲まれている。スマホを見るふりをして耳を立てる。三連休の前日で思ったより人が多いが、ユーハンにはこの距離でも聞き取れた。
    「ハナマルは何を買いに来たの?」
    「ハナマル「先生」な。そこの弁当買いにきたの」
    「ハナマルはまだ学校ー?」
    「今日午前で学校終わったのに何で運動場開放してないんだよー」
    「大人には色々あるの、さあ早く家に帰れ」
    えー、と割と大きな声で子供たちが言う。周りの人はくすくす笑い、弁当屋の女性はおまけだと言って四人分のコロッケを渡している。至って普通の人気者の先生だ。彼がうちの組織を壊滅状態にすることができたのが信じられない。
    しばらく観察を続けてると不意に目が合う。そのままこちらへ向かってきた。この距離で、しかも偵察の訓練をしている私がバレる?そんなことは今までなかった。内心焦りながらそれを悟られないようにこりと微笑んだ。
    「あらら?どうされました?」
    「…いーや、大したことないんだけど」
    はい、と袋を渡される。先ほどもらったコロッケのようだ。
    「なんですか、これ」
    「さっきもらったコロッケ。なんか辛そうだから、良かったら食べたら?」
    そのままここを動く様子はない。食べるまで動かないつもりだろうか。
    「急に渡されても、何故私に?」
    「なんかこっち見てたし食べたいのかなって」
    そんなことありませんよと言ってこの場を離れる。今は距離を取らないとまずい。がし、と腕を掴まれた。
    「じゃあ半分こ」
    コロッケを半分に割り、自分は口に入れながら渡してくる。どこまで私に食べさせたいのだ。
    きっともうバレている。その前提で私は渡されたコロッケを一口食べて言った。
    「わざわざ私に近づくなど、どういうつもりですか」
    「だいたい理由はわかるよ、でもあんたは多分俺をどうのこうのできないよ」
    「どうして」
    「だってあんた優しそうだし」
    また彼が一口コロッケを頬張るのを見る。
    優しいと言って、私はこれまで何人もの人を脅して、いたぶって、殺している。本当に彼が組織を壊しにきたのなら、その残酷さを知っているはずだ。
    ずい、と体が触れそうな勢いで近づいてくる。まだ、うちの組織を恨んでいるのか、周りに人がいても構わず殺しに来るかもしれない。ここで騒ぎになればどんなことになるか。
    私と私の家族は無事ではないだろう。

    近づいた体を素早く掴み裏路地に連れ込む。抵抗はされなかった。

    彼を裏路地の行き止まりに投げ飛ばす。もうバレてしまっているのなら今、仕留めなければ。触ったとき彼は何も持っていなかった。今も黙って、追い詰められているだけ。
    いける
    そう確信して1秒かからず目の前に移動し刃をたてた。血が大きく出ない、しかし急所を狙って。何回も同じことをしてきたから大丈夫。大丈夫だ。

    しかし次の瞬間には私は組み伏せられていた。

    何故だ、私の方が早かったのに。何とかして殺さないと、こんなこと初めてだ。
    頭は混乱しているが体は抵抗する術を覚えているらしく何とかして抜け出しもう一度急所を狙う。しかしどれも塞がれてしまう。パニックになり守りに隙ができてしまった。鳩尾を殴られ今度は私が壁に追い詰められる。
    「やっぱあんた優しすぎるよ」
    「は、はぁ、どういう意味です?」
    何とか余裕そうな顔をする。本当は自分の命、よりも家族の命が危うくなっていることに焦っている。どうしよう、家族に危険なことをされたくない。お願いだ、どうか私を離して、私はあなたを殺さないといけないから。
    見た目以上に力が強く、掴まれた腕は動かせない。武器も遠くに投げられてしまった。空いている足で蹴り上げようとすると彼の足に絡み取られる。私の右足から嫌な音がした。
    「だって攻撃に迷いがある。俺の過去を知って同情してくれたんでしょ。優しいねえ」
    「…では私に同情して、離していただけませんか」
    「なに、家族でも人質に取られてんの?」
    「その通りです。私が任務に失敗すれば家族は無事ではありません」
    「うーん、でも俺も殺されたくないしな」

    うーんと唸る彼をなんとか突き飛ばす。でも足が折れてしまってうまく歩けない。簡単に先回りされてしまった。殴ろうとしてもすぐに弾かれた。

    初めて負けるかもしれないと思った。思わず泣きそうになる。私は死んでもいいから家族だけは生きていて欲しいから。

    「泣かないでよ」
    「じゃあ死んでください」
    「だからできないって。あんたは今、板挟み状態だね」 
    「…家族の方が優先です」
    「ひどっ!まあそりゃそうか、俺もそうだったわ」  

    彼は私の顔をまじまじと見つめるとニヤリ、と気味の悪い顔をした。ボロボロの私を見て笑っているのか。
    「名前は?」
    「…ユーハン」
    「いい名前だね。それに髪もサラサラで綺麗だ」
    「は?」
    「瞳の色も綺麗、口の形もいいね」
    「何言ってるんですか」
    「うーんやっぱり好みの顔だ」
    「さっきからなんなんですか?」 
    「まあ、口説いてる?」
    私を痛めつけておいて何を言っているのだ。

    彼は私の顎を掬い言う。
    「なぁ、俺と一緒に逃げちゃおっか」

    私は相当間抜けな顔をしていたのだろう。彼はフッと笑うと
    「実は俺、この街ではいろんなとこに恨み買ってて、ツケもたくさんあるんだわ。」
    「…ツケ?仕事は?」
    「教員っていってもお手伝いみたいなもんで、元々は施設からの派遣だったし。その施設も変なやつ多いし俺が抜けたくらい何もないよ」
    「しかし、私はいけません。家族が」
    「じゃあその施設に言っとくよ。変なやつ多いって言っただろ。そういうことが得意なやつもいるよ」
    「大雑把ですね」
    「そっちもあんまり言えないだろ」
    「…何故そこまでして私に構うんですか?」
    「まぁ一目惚れかな。あとは…慈悲?」
    「……」
    「ごめん冗談ですすみません」
    「…ふふっ」

    一目惚れは申し訳ないが、私は彼のことが苦手なタイプだ。
    でも、この人に好かれるのは悪くない。

    「本当に、私の家族を守ってくださるんですね」
    「うん」
    「じゃあいいですよ」
    「えっいいの」
    「いいですよ」
    「じゃあ結婚?」 
    「どこまで飛んでいってるんですか。あなたのことが好きなわけではありませんよ」
    「えー…まぁいいか。これからずっと過ごすんだからユーハンは俺のこと好きになっちゃうよ」 
    「大した自信ですね」
    「まぁね、ハナマル様を舐めたらダメだよ」

    ンヒヒ、と笑う彼を見ると適当なことを言っただけかと思ったが目は本気の色だった。私はそのままズリズリと座り込んだ。彼の声にひどく安心してしまったから。

    「とりあえず俺の家くる?」
    商店街を抜け出し、人目がなくなる場所に着くと足折っちゃってごめんね。と彼は私を横抱きにした。人がいないとはいえ恥ずかしいことをするなと睨むと彼のタレ目が優しく閉じて言った。
    「俺の育てた子供を殺されたのは許さないけど、ユーハンがやったわけじゃない。だからそんな申し訳なさそうな顔すんなよ」

    ずっとそんな顔をしていたのだろうか。抵抗されなくても、私は彼のことを殺さなかったのかもしれない。やっぱり私には裏の仕事は合わなかったようだ。

    「疲れた…」
    「そりゃ足も折れてるしめっちゃ殴っちゃったし」
    「ああそうでした。絶対に許しません」
    「ええっ!?」
    「そう言われたらすごく痛くなってきました」
    「じゃあ一旦帰ってから病院行くか〜」
    歩くのに合わせて上下に揺れるのが心地いい。
    家に着くまで、寝ときなよ
    額に優しくキスをされた。家族以外にこんなキスをされたのは初めてだった。なのに何故安心するのだろう。その答えを探す前に私は眠りに落ちた。
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