〜彼女を1人にできない理由〜 「あぁ、なんて甘い香りなんだ……!!」
目の前の男は、はぁ、と息を吐いた。この男も私の香りに魅了されてしまったらしく、さっきから目の焦点が合っていない。早く逃げなきゃと思っても両手は壁に縫い付けられて動けない。こんなことなら彼の言う事を聞いていればよかった……。
ギリッと唇を噛む。
(……ごめんね、悟君)
危ないから外に出ちゃダメだって忠告してくれたのに……。それでも外の世界に憧れて。内緒で出たら案の定、捕まってしまった。
「中はどうなっているのかな?」
ヘヘッとゲスい笑みを浮かべた男は、手を服の中へ。ゆっくりと上に這っていくその手にゾワッと鳥肌がたった。
(……っ、いや!!悟君!!)
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