【五の彼女が女補助監督に狙われている話】 最近入った若い補助監督。
仕事をテキパキとこなし、伊地知を始め、他の補助監督は大助かり。猫の手を100個は借りたかった現場なだけに彼女の株はぐいーんと上昇!そんな彼女の噂は五条の耳にも入り。へー、そんなにすごいんだぁ。でも、なんか煮え切らない。いつもはヘラヘラするくせに顔がスンッの五条。
そんな彼に周りは首をかしげる。
「どうしたんでしょう……」
「さぁ?」
彼女のもとへと向かった五条。廊下を歩いていると角に彼女の姿が。
あ、いたいた!
おーい!
声をかけようとしてストップ。
さっきまで噂をしていた補助監督と一緒だった。
(……なにを企んでる)
実はその補助監督が彼女にだけ対応がキツいと知っていた。もし泣かせたらぶん殴ってやる。暴力で解決させる気満々である。そ〜っと2人の様子を眺めると、
(……ぇ、)
まさかの壁ドン。
え、これどういう事?なんで僕の彼女が壁ドンされてるの?しかも顔近くない?
キスしそうなくらいの距離にいる2人に、見てはいけないものを見ている気持ちになる。思わず携帯を取り出し動画に。顎クイまでする補助監督に、さすがに察した。
(もしかして、僕の彼女……狙ってる?)
それなら今までの行動に合点がいく。
やたら自分に甘い声を出したり、彼女には当たりが強かったり。
それは彼女から自分を遠ざける計算だとしたら……
(ひ、秘密の花園じゃん……!!)
グイグイ迫る補助監督と、困ったように顔を逸らす彼女。
(クソッ、なんてムラムラする顔なんだ!!)
そんな顔をさせていいのは僕だけなんだぞ!!
なんて思いつつ動画を回し続ける。
「あれ?五条さん、そんなところでどうされ……ひぃいいい!!!」
振り向いた五条を見て悲鳴をあげる伊地知。
す、すみません!!わざとじゃないんです!!
不機嫌モード全開の五条に、やっちまったと後悔する。しかも2人にまでバレ補助監督にはキッ!!と睨まれ、彼女には半泣きで怒られた。
「あんたなんかに、彼女は渡さないんだから!!」
「あ"?上等だ!!」
おわり。