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    Fu_96BS

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    Fu_96BS

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    ジョウヤス
    無理

    恋人ってやつはスキンシップをするだろ、それくらいは恋愛したことない俺でも分かる。手を繋いだり、ハグしたり。後はキス、したり。考えただけでも顔が火照るけど、実際したらめちゃくちゃ幸せなんだろう。

     そんなウブみたいなことを考えていた俺にも、なんと恋人が出来た。それも同じバンドのベース、結構年上のジョウって奴。病弱ですぐ血を吐くから俺が守んきゃって思うのに、強くて優しくていつも守られてばかりだ。酒も飲むしその気になれば煙草も吸えるんだろう、多分健康上の理由で駄目だろうけど。
     何が言いたいってジョウは思ったより大人だってことだ。そりゃ病弱過ぎることを覗けば顔だって性格だって悪くない、スペックもそこそこある。酒を飲める歳だからか俺より知ってることは多いし、やれることも多い。
     付き合いたての頃は「俺がジョウの彼氏だ」とか思ってたのに気がついたら俺が彼女みたいになっていた。エスコートしようとしても空回り、心配されて終わるがオチ。ジョウは楽しそうだったけどめちゃくちゃ不服だった、次の日学年一のモテ男に秘訣を教えてもらうか迷ったくらいには。
     そしてジョウは優しすぎる。俺は陶器じゃないしガラスでも豆腐でもないのに、めちゃくちゃ丁寧に扱ってくる。
     ――だからか、まだ俺たちはキスをしたことがない。


    「ファー  お前らまだキスしてねぇーの?」
    「……んだよ、ワリィかよ」
    「そんなこと言ってねーよ……」
     なんか意外だっただけ、とハッチンが漏らす。もう付き合って一ヶ月は経つ。俺だってキスしたことない、それどころかあまり満足に二人で会えていないことに驚いてるし不満だ。
     その日は放課後にスタジオ練習があって、ジョウは健康診断かなんかで早引きしていたのだ。双循も何だか忙しそうでバイクで颯爽と消えていったし、残った二人で帰る他なかったってわけだ。どうせなら俺ん家で飯食ってけ、と今は自宅に向かっている最中。
     ジョウと付き合ってる、とポロッと零してから相談相手は此奴一択だった。俺と同じくらいの恋愛経験しか無いだろうけれど、妙に親身になって聞いてくれるもんだからつい相談してしまうのだ。返ってくる言葉に信憑性も説得力も無いけれど言葉に出すだけで十分気持ちは軽くなる、持つべきは幼馴染みだったか。

     今日の相談内容は、ジョウとキスしたことがないということ。手を繋ぐくらいなら割とあるが、ハグもまだ片手で数えられる程度。キスなんかゼロだ、一度もしたことがない。
    「アピールは? キス顔みたいなヤツ」
    「やった」
    「キスしたいって言ったことは」
    「……ある」
    「間接キスは流石にしてるだろ!」
    「……」
    「ファー……マジかよ……」
     キス待ちはしている、ジョウの服を引き寄せて目を瞑るヤツ。キスしたいって言った、二人しかいない部屋で。間接キスは何度も狙ったが、移したくないと拒否された。移すような病気になんてかかってないクセに。
     ここまで発展してないとは思っていなかったようで、ハッチンは頭を抱えて天を仰ぐ。ここまで親身になるとは思っていなかった俺はギョッとしてしまった。そんな幼馴染みのキス問題なんか聞くだけで気持ち悪いだろうに。
     話している間に家に着いて、母さんに只今を伝える。ハッチンも居ると伝えてから部屋に戻り、ギターケースを隅に追いやる。手伝いをするために戻り、食卓に飯を並べる。三人で食べる夕飯は美味しかった。

    「絶望的じゃね?」
    「……ウゼェ」
    「ファ……意見求めたのはヤスじゃねーか……」
     理不尽だとファーファー喚くハッチンを置いて、俺は大きく溜め息をついた。どうすればキスが出来るか、ジョウに近付けるか対策を練っていたはずなのだが。
     どれだけ案を上げたとて、全てジョウが砕いていくのだ。友人より一歩近い関係になったはずなのに、何故だかジョウが遠く感じる。
     また溜め息をつけば、ハッチンが呆れたようにファーと零す。そうして少し時間が経った頃、ハッチンが突然思いついたようにガバリと顔を上げた。
    「ヤスからキスすりゃいーじゃん!」
    「……は?」
    「ジョウからしてくんねーんならやるしかないだろ!」
     もしかしてそれすら出来ない弱虫なわけないよなー、と笑うハッチン。そう言われて恥ずかしいんだか怒りたいんだか分からなくなる俺。確かにそうだ、守りたいとかいって攻め手に回ったこと、なかった。ジョウが大人だから、優しいから、強いからって少し受け手に回りすぎたのかもしれない。
     自分からとか小っ恥ずかしくて勇気もなかなか出ないけれど、これ以上こんな事で悩んでいたくないのも事実。




    何が言いたいって奥手🔥に強気に出て結局🔥に甘やかされ🔥のスパダリを感じて🍱がタジタジになるのが見たいってわけよ
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    Fu_96BS

    MEMOアイクロ🦁🦔
    n回煎じとはこの事よっていうネタ
    毎日毎日牛乳を飲み、ことある事に「身長が伸びたい」と願い続けたクロウ。そしてある七夕の日の夜、クロウが寝ている間に何者かによって魔法をかけられる。
     次の日起きたらなんとクロウの身長は二メートルを超えていた! 毎日飽きもせず小動物と煽る恋人、アイオーンよりも大きいぞ!

     今まで履いていた十センチヒールのブーツを靴箱にほおり、カッコイイ革靴を履いてアイオーンの元へ。親には驚かれたが遅い成長期だと言って誤魔化した。
     アイオーンに合って最初に言った言葉は「お前が小動物になったんだよ」だった。ニシニシと笑うクロウにアイオーンは言葉を失う。小動物じゃ……ないだと……?

     そんな身長差で二人は生活を始める。しかしクロウは気付いてしまう。……あれ、身長が高いことって案外いいものでも無い……?
     キスがしたくなったら自分から屈まなきゃいけない。あんなに頼れると思っていたアイオーンの体が小さく感じる。電車もバスも少し屈まなきゃ入れないし、今までのマイクスタンドは使い物にならんし。
     そしてまた気付く。キスする時にこちらに屈むアイオーンのあの顔が、ハグした時に自分を覆い被さるあの身体が好きだったんだ 703

    Fu_96BS

    CAN’T MAKEジョウヤス
    無理
    恋人ってやつはスキンシップをするだろ、それくらいは恋愛したことない俺でも分かる。手を繋いだり、ハグしたり。後はキス、したり。考えただけでも顔が火照るけど、実際したらめちゃくちゃ幸せなんだろう。

     そんなウブみたいなことを考えていた俺にも、なんと恋人が出来た。それも同じバンドのベース、結構年上のジョウって奴。病弱ですぐ血を吐くから俺が守んきゃって思うのに、強くて優しくていつも守られてばかりだ。酒も飲むしその気になれば煙草も吸えるんだろう、多分健康上の理由で駄目だろうけど。
     何が言いたいってジョウは思ったより大人だってことだ。そりゃ病弱過ぎることを覗けば顔だって性格だって悪くない、スペックもそこそこある。酒を飲める歳だからか俺より知ってることは多いし、やれることも多い。
     付き合いたての頃は「俺がジョウの彼氏だ」とか思ってたのに気がついたら俺が彼女みたいになっていた。エスコートしようとしても空回り、心配されて終わるがオチ。ジョウは楽しそうだったけどめちゃくちゃ不服だった、次の日学年一のモテ男に秘訣を教えてもらうか迷ったくらいには。
     そしてジョウは優しすぎる。俺は陶器じゃないしガラスで 1968