From Noon Till Dawn 数えるのも飽きるくらいに、ねだられれば何度だって唇を触れさせて温もりを分け合った。
その気になれば際限なく甘やかせるだろう己の惚れた弱味が苦々しい。はじめのうちは呼吸すらおざなりにして捨て身のごとき勢いでがっついてきたので、じゃれつく仔犬を宥めすかすように、どうどう、と笑いながらいなすほど余裕だってあったのだ。
体の触れあい方を知ったばかりのロキが見せる未成熟な興奮と期待は、それだけで俺を骨抜きにした。数回の繰り返しだけで、ロキが目を閉じて顔を近づければ、言葉も交わさないうちから合図のように口づけてしまうようになった。まるで餌をねだる雛鳥と世話をする親鳥のよう。
言葉とは裏腹に素直に示される好意や、安心しきった様子で頬をすりよせてくるロキの、許された距離の甘美に身が震える。
1991