[無配2]どうして?先生 後編「やぁ、あ、あ…っ!」
「嫌がるのは口だけだな」
身体の奥底から湧き上がる熱に身を焦がされ、炭治郎は自由の利かない身体を捩る。炭治郎の身体はエネマグラの刺激にすっかり慣れてしまい、尻だけの刺激でイけるようになってしまった。冨岡のいうように、心は置き去りのまま、決して身体は嫌がってなどいなかった。彼女に跨られたときは醜態をさらしてしまったというのに、何故冨岡に甚振られているときには、身体は拒否反応を示してくれないのだろうか。
「ぅあ、あ、ひぃ、や、もう抜い、て、や、です、せんせぇ…っ!」
「…なぁ、竈門。イイって言ってみろよ」
「は…?ぁ、う、や、やっ!」
「どうせお前は俺に逆らえないんだ。だったら楽しんだほうが得だろう?」
「ひぃ、ぅ」
「炭治郎…ほら…」
ぐちゅり
ナカの器具が向きを変え、新たな刺激を与える。炭治郎の喉はひゅっと音を立て、鋭く息を吸い込んだ。
「ひぐ!?や、やぁあああ!!ひゃめ、て、やめてぇ!!」
「ほら…本当は気持ちいいんだろう?お前はここが昔から好きだもんな…」
「ひぃ、ん、あう、あぁ、あ、きもひ、よくなんか、なぃい…っ!」
「…相変わらず強情なやつだ」
冨岡は舌打ちをすると、ずるりとエネマグラを抜き去った。尻から圧迫感が無くなり、炭治郎はほっとしたように息をつく。だが、中途半端に高められた身体は火照ったままで、炭治郎は太ももをもじもじと擦り合わせた。冨岡は目ざとくそれを見とめると、バカにしたような嫌な笑みを顔に貼り付けた。
「なんだ。どうしたいんだ?」
「ん…ぅ……う…」
太腿を擦り合わせ、なんとか性器に刺激を与えようとする炭治郎の真っ赤な耳に唇を触れさせながら、義勇は掠れたハスキーな声で囁く。
「恥ずかしいな竈門?男のくせに女みたいに叫んで…鳴いて…。素直になれよ。なぁ?…俺は…とは違う、どんなお前でも…」
冨岡の語尾は段々と消えいり、なんと言っているかはよく聞き取れなかった。だが、「恥ずかしい」という言葉に炭治郎はぴくりと反応した。
思い出されるのは、数時間前の失態。
ーーあんな反応をしてしまったのは、間違いなく冨岡の暴挙が原因だ。他の年頃の男子と同じく、炭治郎だって女子の前で格好つけたい気持ちはゼロではない。それなのに、彼女の前であんな失態をさらしてしまった。何度か話しかけたけれど、帰り際、とうとう目も合わせてくれることはなかった。彼女も勇気を出して迫ったろうに、きっとプライドを傷つけてしまったのだろう。
それもこれも、全部この横暴な教師のせいだ。
否。
猥褻、拘束、脅迫…
もはや、教師を名乗る資格すらありはしない。
炭治郎は赤い瞳に苛烈な光を宿し、冨岡を睨みつけた。写真の存在など消し飛ぶほど、強烈な怒りを覚えた。
「…らい」
「ん?…」
「嫌い…嫌い嫌い嫌い!貴方が!!貴方のことが!!嫌いです!!!」
「……………」
「どうして!?どうしてこんなことするんですか!?答えてください!冨岡先生!!!」
「……………」
「黙ってないで答え…ぁ、ぅあ、あっ?」
アナルに圧迫感を感じて視線を落とせば、信じられない光景が広がっていた。冨岡の指が、尻に突き刺さっていたのだ。炭治郎は呆然として、抵抗するのも忘れてしまった。冨岡の節くれだった指が出入りするたびに本数が増えていく。片手に持ったチューブからぬめった液体を足しながら、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て、信じられない場所が広げられていく。そのおぞましさに、炭治郎は悲鳴をあげた。
「ひ、ひぃい、い、何、やめ、汚い、汚いですっ!いやぁ!やだ!」
「はは…炭治郎…こっち向け…」
「う、むぅ!?ん〜っ…!!」
あまつさえ、奪われてしまった。
初めての、キスを。
ふにゅりとした感触を唇に感じた瞬間、炭治郎は火が付いたように暴れる。赤い大きな瞳に涙をいっぱいに溜めながら、唯一自由のきく足をばたつかせる。
ーひどい。ひどいひどいひどい!!
初めてだったのに!!本当に好きになった時、彼女にとっておこうと思っていたのに!!
冨岡に足を掴まれたが、我を忘れて暴れ回り、振り解く。大きな力の差があるとはいえ、加減なしの人間の力は凄まじい。冨岡は抑えきれなかったようで、足が大きな力を伴ったまま宙に放り出された。そして、鈍い音と共に、足裏に大きな衝撃が走った。
「……あ」
「……………」
炭治郎の足は、冨岡の顔を直撃していた。冨岡のシャープな左頬は赤く染まり、ぎろりと青い瞳だけがこちらを睨んだ。ぎゅるりと動いたそれは、爬虫類のそれを思わせた。元来、穏やかで人に暴力などふるったことのない炭治郎は、人を傷つけたと言う事実に震えた。鈍い感触が、まだ足裏に残っているようだった。
「ご…ごめんなさっ…」
よく考えたら謝る必要などないのだけれど、つい反射的に口にしていた。
ーそして。一瞬。ほんの一瞬だけ、気が付いてしまった。
冨岡の眉が僅かに下がり、ぐにゅりと歪んだことを。
その表情を見た瞬間、炭治郎の胸になんとも言えぬ感情が沸き上がる。
罪悪感のような、憐憫のような、焦燥のような。
鉄面皮の冨岡の表情が、苦しそうに見えたのだ。苦しい思いをしているのはこちらのはずなのに、どうして彼がそんな表情をするのだろう。
「あ…あの、冨岡せんせっ…」
「はは…は、はは…」
「んぅっ!?」
乾いた笑い声と共に、ひどい水音を立てて指が引き抜かれる。炭治郎は引き攣った呼吸を繰り返しながら、ぱちぱちと瞬きをした。瞬きを繰り返すたびに、涙で滲んだ視界がクリアになっていく。ギシ、と何かが軋む音と共にマットレスが沈むのを感覚で感じた。冨岡の顔が再び迫り、キスをされる、と瞳を閉じるが、その感触は訪れなかった。その代わりに感じたのは、あらぬ場所への熱。そろそろと瞳を開ければ、先ほどまで指で弄ばれていたアナルに、長大な肉の塊が押し付けられていた。
「へ……?」
それがなんだか一瞬分からず、炭治郎は間抜けな声を溢す。鎌首をもたげ、先端から細く涎を垂らし、凶悪なカタチをしているソレ。冨岡の勃起したペニスだと認識するのに時間がかかった。赤黒く、太い血管がぐるぐると巻きつき、カリの段差もエグいソレは、皮を被って未成熟な自分のモノとは似ても似つかない。ぐりぐりとアナルに擦り付けられて何をヤられるか察知し、炭治郎は青ざめ、力なく首を振った。
今までは、ギリギリ保っていた。治療器具、という言葉の通り、エネマグラは確かに本来はその用途で使われている。だから、まだ大丈夫だと、そう自分に無理やり言い聞かせていた。
けれど、男であるというのに、ソレを挿れられたら?そんなことまでされてしまったら、もう自分は男ではなくなってしまう!
「や、えて、おれ、おれぇ…っ!彼女、いるんですぅぅ…っ!これ以上、だめ、おれ、ぇ…っ!おねが、ゆるして、ふぇえ、え…っ!」
本格的に泣きじゃくり始めた炭治郎を見て、義勇は低く笑い声を落とす。傷ついた猛獣のような唸り声だった。
「……知ってるよ。」
「え?あ、あ、あぁあ“あぁああぁ!?」
ごじゅ、ん
身体が、二つに引き裂かれてしまったと思った。強烈な異物感と共に、みちみちと肉の路を押し開きながら侵入してくる熱。日数をかけて慣らされ、躾けられた身体は、心とは裏腹に貪欲に熱を喰んだ。
「ひぃ…っぐ、ぁ、かはっ…!」
「…はっ、はぁ、は、たんじろ…っ」
「抜いてっ!ぬいてよぉっ…!や、やぁ、む、う、う…っ!」
「ん…ちゅ…炭治郎…」
唇を割って蛇のように入り込んだ熱くぬめった感触に、炭治郎はもはや抵抗できず、おとなしく受け入れた形になってしまった。歯列をなぞり、上顎の粘膜を嬲られ、
パシャリ パシャ パシャ
「…ははは、は」
「ひぃ…ん、やめ、ひぇ…っやめ、やめ、ぇ…っ!」
「はは、は、はは………」
繰り返される機械音に、炭治郎の見開かれた瞳からぼろぼろと大粒の涙が溢れた。それは屈辱の涙のはずなのに、なぜだか胸が苦しい。それはきっと、涙のベールの向こうにある、冨岡の表情のせいなのだろう。
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