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    ぐだンド ぐだ♂

    子供の成長に喜び、将来へ思いを馳せるぐだの小話。
    ※平和な未来軸かつ、捏造ぐだンドのお子が出ます。ンド様は出番があるようなないような微妙な感じです。

    アスターお題 花言葉から「変化、信じる心、美しい思い出」


    朝露が光る庭へと藤丸がサンダルを履いて出る。探し人は花壇の前で座り込んでいた。

    「何してるの?」
    「おとーさん!」

    声をかけると娘が顔を上げた。勢いがつきすぎて後ろ向きに倒れそうになるのを小走りで近寄り、足でどうにか受け止める。

    「おっと、気をつけないと危ないよ」
    「あのね、よーちえんでね、せんせーとはなうらないしたのー」
    「そっか、何を占ってるの?」

    どうやら家でも試したくなり、庭の花壇に咲いていた花を使っていたようだ。花弁の少なくなったピンク色の花へ視線を合わせ、屈みながら子供の願いがなんであるのか聞き返す。

    「まちちゃんがわたしのことすきかなって」
    「そうなんだ」

    つい先日まではパパ、パパと自分の後ろをついて歩くばかりだった子が、呼び方を変え、友情について悩んでいる。
    まだまだ小さいとはいえ、育ち盛りなこの子は日々成長し、新しい顔を見せてくれる。その変化は目まぐるしく、藤丸には眩しく感じた。

    (オレも年を取ったなぁ)

    かつての自分も、周りの大人たちからはこう見えていたのだろうかと思うと面映ゆい。

    「なあに、おとーさん」
    「ううん、なんでもないよ。占い、お父さんも見てて良いかな?」
    「うん!いーよ!」

    陽光が反射して輝く白い髪を撫でる。形の良い丸い頭は触り心地が良く、サラサラした髪質も母親譲りだ。

    (いつか、今日のこともこの子の中で思い出になる日がくるのかな)

    自分の中で大切に保管している美しい思い出たちのように、良い記憶をできるだけたくさんあげたい。
    親になってようやく、与えることを好むあの神の気持ちが分かるようになってきた。

    「ゔぅ」
    「ど、どうしたの?」

    悲しそうな声が耳に入り、慌てて意識を下へ向けると、子が泣きそうな顔で茎だけになった花の残骸を突きつけてきた。

    「きらいって、きらいってなったあぁっ!!まちちゃん、わたしのこときらいなんだあっ!!!!」
    「あー、なるほど……」

    花占いは結局花弁の数で決まる言葉遊びに過ぎないが、それを言ったところで納得はしてくれないだろう。結構頑固で臆病なのだ。
    半べそをかいている娘に、あれだけ晴れていた空も心配そうに曇ってしまった。ここで対処を間違うと辺り一帯が雷雨になりかねない。早くどうにかしなければ、今洗濯機で回っているものも干せなくなってしまう可能性が出てきた。
    何より、親のエゴであったとしても娘にはなるべく笑顔でいて欲しいと、藤丸は知恵を絞る

    「占い結果は残念だったね。好きが出なかったのは悲しい」
    「……ん」
    「でも、それはまちちゃんが言ったわけじゃないよ?まちちゃんの本当の気持ちはまだ分からない」
    「そーだけど……でも……」

    眉を寄せて唇を尖らせている顔も母親に似ている。何かを我慢している時の表情だ。
    俯いてしまったその頭をゆっくりゆっくり掻き混ぜて、縮こまってしまった心に届く言葉を探る。

    「じゃあ、まちちゃんに明日聞いてみよう。きっと好きだって言ってくれるはずだよ」
    「そーかなぁ?ほんとーに、そうおもう?」
    「もちろん!怖いならお父さんも一緒に聞いてあげるから、ね?」
    「ゔーーーー」

    こういう時、下手に慰めてもこの子は意固地になってしまう。直接答えを聞いてしまった方が良いだろう。
    幸いなことに、幼稚園で会うまちちゃんという子はいつもうちの子に引っ付いていて、端から見れば大好きなのがバレバレだ。
    悪い結果にはならないと藤丸は予想している。後は、この子が父の言葉を信じる勇気を持てるかどうかだ。

    うんうんと一丁前に腕を組んで悩む子を見守る。空は今にも泣き出しそうだ。

    (まだ雷は落とさないでくださいね)

    空へ向かって苦笑を浮かべると返事の代わりにゴロゴロと音だけが返ってきた。

    「わかった」
    「ん?」
    「わたし、あしたまちちゃんにすきっていう!それで、まちちゃんもすきになってっていう!」

    娘へ視線を戻せば空色の瞳が見上げてくる。泣く子はもう笑っていた。頑張るぞと拳を握る姿が実に愛らしい。
    雲が動き、晴れ間が覗く。柔らかい風が藤丸と娘の頬を撫でるのに、キャラキャラと甲高い笑い声が上がる。

    (本当に心配性だなぁ)

    完全には晴れない曇り空を見上げて藤丸も笑えば、ぴちょんと一滴だけ雨粒が鼻へとキスをしてきた。
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