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    ぐだンド ぐだ♀

    仕事が忙し過ぎて思わずいい加減な対応をした結果、ンド様にお仕置きされるぐだの小話

    アマリリスお題 花言葉から「おしゃべり、輝くばかりの美しさ」


    インドラ神はおしゃべりな質だと思う。

    「立香。おまえは神が側近く置いてやっている意味を真に理解しているのか?威光の強さに目を向けられない気持ちも分からないではないが、視線があまりにも低過ぎる。命令だ。今すぐ面を上げ、讃歌を献上せよ」
    「いやー、いきなりそう言われましても……」
    「む」

    自室のベッドにて、インドラに後ろからガッチリと抱きしめられている藤丸は、ワガママ、もとい抗議を受けて苦笑した。
    恋人としてはできる限り話を聞いてあげたいし、要望を叶えて甘やかしてあげたいと思う。
    だが、残念なことに今の藤丸には時間がなかった。
    午後から重要な会議を行う。そこで使う資料を用意しなくてはいけないのだが、重要事項をまとめるだけでも時間がかかってしまっていた。
    本来ならばインドラを部屋へ迎え入れるべきではないほど、切羽詰まっている。

    (えーっと、このデータはこっちの資料と関連があるから、分かりやすいように注釈をつけて)

    とはいえ、こちらの事情はインドラに関係がないことだ。下手に伝えて断ると『神より仕事を優先するのか』とご機嫌を損ねることが容易に想像できる。
    正直あまりに追い込まれ過ぎて、説得の言葉を探す時間もない。

    (ごめんインドラ様!会議が終わったら本当にちゃんとお話聞きますので!)

    不誠実なことは承知で、話半分のらりくらりと曖昧な返事をしながら作業を続けるしかなかった。
    一応、部屋へあげる時に『急ぎの仕事があって手が離せない』とは伝えている。それなら共にいるだけでも良いと了承したのはインドラなので、どうか大目にみてくれないかと藤丸は願う。

    「なるほど。神の輝かしさを言い表すには相応の学が必要だ。おまえが言葉に迷うのも仕方がないこと。では、浅学な貴様のために少し妥協をしてやろう。神の慈悲に感謝するが良い。誠心誠意神を持て成しおまえの言葉で神の偉業を述べろ。今すぐにだ」

    それにしてもよくこれだけ長々と話ができるものだと感心する。
    藤丸はまだ勉強途中の身なので詳しくはないが、聞きかじったところによると原典でも自身への讃歌が多く、その美しさから言葉を操る者として讃えられることもあるのだとか。
    確かに、朗々と流れるように話す様は堂に入っているし、甘く響く耳馴染みの良い声の相乗効果かついつい聞き入ってしまう。

    (昔の人たちもこうやってうっとりしてたのかも)

    などと頭の隅で思いながら神の声をBGMに資料整理を続ける。しかし、そんな贅沢者を見逃し続けてくれるほど、インドラは甘くない。

    「おい、返事はどうした。まさか聞いていないなどとは言うまいな?」
    「え?……もちろんですよ」
    「ほう?ならば神が何を所望しているのかは分かっているな?」
    「え、えーっと。それは、その……」

    いつもより低い声色。抱きしめられていた身体が離されベッドが軋む。

    (ヤバい)

    焦って藤丸は資料から顔を上げる。正面へ立ち腕を組んで見下ろしてくるインドラは、口元こそ笑っているが目には剣呑な光が宿っていた。対応を間違ってしまったようだ。
    やはりどれだけ忙しくとも、人(神)を蔑ろにするような行いは駄目だと反省する。

    「すみません、調子に乗りました」
    「……フンッ。この神の言葉を聞き流す大罪を犯しておいて素直に謝れば許されるとでも思っているのか?それこそ不敬の極みだ。罰を与えられても文句を言えぬぞ?」
    「はい……」

    インドラの右手でバチバチと小さく爆ぜる雷に焦りが募る。なるべく痛くありませんようにと祈りを込めて身を固くし構えた。
    彼が寄ってくる気配。肩に左手を置かれ思わず強く目を閉じる。
    ちゅっ

    「……へっ?」
    「ふ…ハハハハ!ずいぶんと間の抜けた面だな。良いだろう、その顔に免じて今回だけは許してやる。神が寛大で助かったなぁ、立香?」

    唇に触れた柔らかな感触に慌てて目を開ければ、至近距離に美しい顔。悪戯が成功して喜ぶ子供のような笑みに、苛立ち半分愛しさ半分の複雑な感情が湧き上がってくる。

    (この神はー!!!)

    尊大なわりに自身の輝かしさが及ぼす影響をいまいち理解していないような気がしてならない。
    そんな可愛い顔をされて、恋人が何も思わないわけがないというのに。
    藤丸の顔を覗き込むため未だ身を屈めニヤニヤしているインドラの肩を、資料を投げ出し両手でしっかりと捕まえる。
    大丈夫、資料は後の自分が死ぬ気になって終わらせるだろう。

    「ムッ、許可なく触れるとは不敬だぞ」
    「これからもっと不敬なことをするので今更ですよ」
    「は?」

    小首を傾げる様まで可愛く見えるのは欲目だろうか。更にイライラするような衝動が募り、藤丸は伸び上がって無防備な唇へと噛み付いた。
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