先着限定アヴァンチュール「そこの格好いいオニーサン、隣空いてる?」
曰く、ナンパのコツは相手に警戒されずに心を開いてもらえるかにかかっている。そういう意味では今の声かけは満点だ。初手でさらりと褒めてくるリップサービス、それでいて隣に座るのに自然な切り口。しかも相手はこんなハンサムなのだから、そりゃあ大概の女の子には有効だろう。
まあ、生憎ここにいるのは可愛い一夏の恋の相手ではなく、手持ち無沙汰にパフェをつつく野郎なのだけど。
「何だよ、そういう遊び? ナンパごっこみたいな」
「オレとしちゃ、遊びでも本気なんですけどねぇ」
ぎらぎらと照り付ける陽光も眩しい昼下がり。暑気を避けるため街角のカフェで一時休憩しているときである。午前中一緒にいた面々は息抜きがてら外に出ているから、この場にいる知り合いはひとりだけだ。警護のために残ってくれた、水着姿の緑の人。
1010